gonna と wanna
gonna や wanna を初めて見聞きした時は「ゴナ」やら「ワナ」やら、何のことやらという感じでした。学校の授業で習った記憶がない!
当時は意味の調べ方も分からなくて、結構長いことモヤモヤしてました。短縮形だと分かったのは、だいぶ後になってからです。
- gonna = going to
- wanna = want to / want a
gonna の用法
gonna の場合、主語は単数でも複数でもOKです。
主語が we なら、we are gonna~、he や she なら he / she's gonna~。this などの「物事」が主語に来る場合もあります。
going to の短縮形なので、be動詞には影響されません。どの人称でも、現在形でも過去形でも、否定文や疑問文にも使えます。
- gonna:
- going to の短縮形 be動詞に干渉しない
どの人称でも、過去形、否定文・疑問文にも使える
- going to の短縮形 be動詞に干渉しない
- What's she gonna do now?
(彼女はこれから何をするつもり?) - This isn't gonna be easy.
(これは簡単にはいかないだろう) - We're gonna win.
(我々は勝つだろう) - I felt like something bad was gonna happen.
(何か悪いことが起きそうな気がした) - Are we gonna go soon?
(もうすぐ出発する?)
gonna の起源
それにしても、なぜ going to が gonna になるのでしょう? 最後の a は一体どこから出て来たのか。
gonna はスコットランドの方言で、1806年から使われた記録が残ってます。
アメリカ英語としては、19世紀末から20世紀初頭にかけて登場しました。イギリス英語ではもっと遅く、gonna という語がOEDに載ったのは、2010年だとか。
発音については、-ing は最後の "g" の音が省略されて、"-in" だけになることがよくあります。なので、going の音は「ゴーイン」ですね。
to の発音は [túː] や [tə] 。これが「タ」の音になり、「ゴーインタ」 「ゴイナ」 「ゴナ」と変わっていったようです。
gonna がNGの場合
オールマイティーに思える gonnaですが、使えない場合もあります。
gonna は「~するつもりだ」のように、未来に起こることを示す時にのみ使えます。「be going to不定詞」は、助動詞の will に近い意味ですね。
going to が「行く」という一般動詞で使われている場合、つまり to の後に名詞が続く場合は gonna にはなりません。
その場合は短縮せず、きちんと going to を用いる必要があります。
- I'm gonna go now.
(もう行く) - I'm going to the park.
(公園へ行く) - I'm gonna the park.
wanna の用法
一方、wanna は want to と want a の2つのパターンがあります。すなわち、wanna の後に動詞の原形が来ることもあれば、名詞が来たりもするわけです。
wanna も否定文や疑問文でも構いません。もともとくだけた言葉なので、特に疑問形では、よく do やら主語やらが省略されますね。
- wanna:
- want to / want a の短縮形 三人称単数の時は使えない
否定文・疑問文にも使える
- want to / want a の短縮形 三人称単数の時は使えない
want to の場合
ひとつには、wanna は「want to不定詞」の短縮形で「~したい」。
- I wanna go home.
(家に帰りたい) - I wanna be married to you. Do you wanna be married to me?
(あなたと結婚したい。あなたは私と結婚したい?) - Why you wanna know all my friends?
(どうして私の友達全員を知りたいの?) - I wanna be a rock star.
(ロックスターになりたい)
want a の場合
want は「欲しい」の意味。たとえ、表記が「want a+名詞」になっていても、発音すると「wanna+名詞」と聞こえるでしょう。
- Wanna beer?
(ビール飲む?) - You wanna slice of pie?
(パイを一切れ食べたい?) - I wanna hamburger.
(ハンバーガーが食べたい)
wanna がNGの場合
ここでも注意点として、wanna が使えない場合があります。
目的語が「a+名詞」以外
当たり前ですが、wanna になる時、目的語は 必ず a が付く単数名詞です。目的語が複数名詞で無冠詞だったり、the が付く時などは、wanna にはなりません。
- Voters want answers to these questions.
(有権者はこれらの質問に対する答えを求めている) - Voters wanna answers to these questions.
主語が三人称単数
また、wanna は主語が三人称単数の時には使えません。なぜなら、主語が he や she だと、want to ではなく wants to になるから。
wanna も、want to の to が重なり、「ワントゥ」 「ワンタ」 「ワンナ」 「ワナ」と変遷を経てます。
wants to だと「ワンツ トゥ」となって、発音的に短縮が困難です。
主語が三人称単数の時は、wants to と言うしかありません。wants a も同様。
ただ、wiktionaryによると「wanna は、wants to や wants a の短縮形としては あまり一般的ではなく、頻繁には使われない」と説明されてます。
ルールとしてNGというより、発音としてしっくりこないということでしょう。
wannabe とは?
wannabe [wɑ́nəbì] は、もともとは want to be の短縮形から転じた語で、名詞や形容詞として使われています。「ワナビ」という言葉は、もう半ば日本語化してるかも?
名詞は「何かになりたがっている(人)」、形容詞は「~志望の」の意味です。
wannabe の起源
wannabe は、もともとはアメリカ英語でサーファーのスラングだったとか。
1984年頃、アメリカのポップシンガーのマドンナにあこがれ、そのファッションを真似た Madonna wannabe(マドンナ志願者)の女性が急増してブームになったことで、この用語が広く普及しました。
- wannabe: want to be の短縮形
- 「~志望者」 名詞
- 「~志望の」 形容詞
名詞の wannabe
「~になりたがっている人」「~志望者」という名詞の時は、「名詞+wannabe」の形で、wannabe が後ろに来ます。名詞+名詞になるのが不思議な感じですね。
単数なら a~wannabe、複数なら ~wannabes。
- She's a pop singer wannabe.
(彼女はポップシンガー志望者だ) - Kohler is a 17-year-old rapper wannabe from Montana.
(コーラーはモンタナ州出身の17歳のラッパー志望者だ) - The audience was full of Madonna wannabes.
(観客はマドンナ志望者でいっぱいだった)
形容詞の wannabe
「~になりたがって」「~志望の」の場合、語順は「wannabe+名詞」。形容詞なので、複数の時は名詞のほうに -s が付きます。
- The bar is frequented by wannabe actresses and film directors.
(そのバーには女優志望者や映画監督志望者がよく来る) - He is a wannabe actor and a poet.
(彼は俳優志望であり詩人でもある) - All three wannabe rockers were, like, 11 years old.
(ロッカー志望の3人は全員11歳くらいだった)
ちなみに、カタカナで表記すると、want は「ウォント」、want to は「ワントゥ」、wannabe は「ワナビー」と聞こえます。
want 単体では「ワ」でなく「ウォ」のほうが近い感じ。以下は、アメリカ英語です。
want:
want to:
wannabe:
まとめ
wannabe は、want to be と意味や用法が異なる点がトリッキーですね。
洋画を観ながら英語
映画『チャーリーとチョコレート工場』はご覧になりましたか?
ウィリー・ウォンカのチョコレート工場には不思議がいっぱい。ちょっと怖い気もするけれど、行ってみたい。そんなふうに思わせてくれます。
映画とは異なる部分もありますが、原作のロアルド・ダールさんの児童書は、ブラックユーモアが特徴的で、読みやすいです。
少しでも理解の助けになれたら幸いです。お読みいただき、ありがとうございました。
(引用・参照元:The Free Dictionary, Oxford Learner's Dictionaries, Cambridge Dictionary, LDOCE, Collins Dictionaries, Merriam-Webster, English Language & Usage Stack Exchange, Wiktionary, Online Etymology Dictionary, Wikipedia)