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identify と identity
「ID」は、今やあらゆるところで使われてます。ID card(IDカード)はアメリカ英語だと identification card、イギリス英語だと identity card の略語です。
identify と identity 一字違いで、混乱しやすいけれど明確に異なります。identify は動詞、 identity は名詞です。意味については後ほど詳しく。
identification と identity
上で触れたように、IDカードは identification card とも identity card とも言われます。identification も identity もどちらも名詞。では、この2つはどう違うのでしょう?
identification の用法
identification は、大きく分けて意味が3つあります。ひとつは、「それが何であるかを証明し、識別するもの」。識別するための物質的なものや情報などを指します。
2つめは、「それが何であるかを証明し、識別するプロセス」。「識別する」過程や行為です。3つめは、「同一視すること」。
identificat- は中世ラテン語の「識別される」の意味で、identification は動詞の identify から派生した語です。
- identification:
- 「識別するための情報」 数えられない名詞
- 「識別する一連の過程」
- 「同一視すること」
識別するための「情報」
その人が誰であるかを証明するものです。よく「ID」と略されますね。「身分証明書」や「識別情報」を示し、この意味では数えられない名詞。
- Can I see some identification, please?
(識別情報を見せてもらえますか?) - The police checked their identification.
(警察は身分証明書を確認した) - One passenger couldn't provide identification.
(1人の乗客は身元証明を提示できなかった) - To open a new account, the bank will require you to show four pieces of identification.
(新規口座の開設には、銀行で4つの身分証明書の提示を求められる)
識別する一連の「過程」
「それが誰であるか、何であるかを証明し認識するプロセス」です。すなわち「証明して認識する行為」。数えられない名詞だったり、数えられる名詞にもなります。
- Accurate identification of these birds is difficult.
(これらの鳥を正確に識別することは困難だ) - Only one witness could make a positive identification.
(1人の目撃者だけが確実な識別ができる)
同一視すること
「何かと同一だと考えること」あるいは「何かと密接なつながりがあること」。
identification of~with…の形で用いられ、「~の…との同一視」。identification with~ で「~との一体感」。
- identification (of~) with…:
- 「(~の)…との同一視」「(~の)…との一体感」
- The identification of feminism with the United States has dishonoured it around the world.
(フェミニズムとアメリカとの同一視は、世界中でフェミニズムの名誉を傷つけた) - The identification of one committee with one department should be ended.
(一つの委員会と一つの部門の同一視はやめるべきだ) - Hales' success as editor of the Almanac is explained by his identification with readers.
(ヘイルズの年鑑の編集者としての成功は、読者との一体感によるものだと説明される)
identity の用法
では identity はと言うと、日本語ではよく「自己同一性」と言われたりします。日本語が難しい…。「同一である性質」を示すラテン語から来ているそう。
identity は基本的に「その人や物事の本質」を示します。辞書で identity を調べると、これも意味が3つ。
- identity:
- 「誰 / 何であるかという事実」
- 「識別し認識する特徴」
- 「同一だという認識」
identification と似ている部分もありますね。identity は、数えられる名詞と数えられない名詞のどちらの場合もあり。
誰 / 何であるかという「事実」
「ID」と略すことがしばしば。ただ identification と違って、「その人を証明するための情報」ではなく、「その人が誰であるか」「その人の正体」です。
すなわち、「名前やその人に関する事実」「身元」を指します。
- The police are trying to discover the identity of the killer.
(警察は殺人犯の身元を突き止めようとしている) - Their identities were kept secret.
(彼らの身元は秘密にされていた) - The thief used a false identity.
(泥棒は偽の身元を使った)
識別し認識する「特徴」
また、identity は「他とは違うと認識できる特徴的な性質」「それを持っているという自己認識」を意味します。
もう少しかみ砕くと、「自覚している独自の属性」のこと。
他者による認識というより、自分自身がその特徴を認識している点で identification と異なります。
- The people have a strong sense of national identity.
(人々は強い国民的同一性の意識を持っている) - The company forged its own identity by producing specialist vehicles.
(会社は特殊な車両を生産することで独自のアイデンティティを築いた) - It was important for me to carve out an identity separate from my husband's.
(私にとって夫とは別のアイデンティティを築くことが重要だった)
同一だという「認識」
identification は「同一視すること」でした。identity も似ていて、「同一であると認識すること」。
identyty の後に続く前置詞としては、identity of(~の一致)、identity with(~との一致)、identity between~and…(~と…の一致)など。
- The two companies started working together as a result of a clear identity of interests.
(2つの会社は利害関係が明確に一致した結果、協力し始めた) - He feels a strong sense of identity with his fellow soldiers.
(彼は仲間の兵士たちと強い一体感を感じている) - There's a close identity between fans and their team.
(ファンとチームの間には密接な一体感がある)
identification と identity の違い
結論として、簡単に言えば、identification は「同一である」と識別する「情報」や「過程」、identity は同一である「事実」と同一であるという「概念」です。
identify の用法
次に、動詞の identify ですが、基本は「誰 / 何(である)かを認識する」の意味です。普通は他動詞。
自動詞のフレーズとしては、identify as~ は「自分を~として認識する」。identify with~ は「~と同感だと思う」。
- identify:
- 「~を認識する」
- 「自分を~として認識する」 identify as の形で
- 「自分が~と同感だと思う」 identify with の形で
他動詞の場合
目的語を取って、identify A as B(AをBとして認識する)や identify A with B(AをBと同一だと認識する)になることも、よくあります。
- identify~as…:
- 「~を…として認識する」
- identify~with…:
- 「~を…と同一だと認識する」
- She was able to identify her attacker.
(彼女は襲撃者を認識できた) - Many of those arrested refused to identify themselves.
(逮捕された人々の多くは身元を明らかにすることを拒否した) - The bodies were identified as those of two suspected terrorists.
(遺体は2人のテロリスト容疑者として確認された) - You should not identify wealth with happiness.
(富と幸福を同一視すべきではない)
主語が「物事」の時
主語が「物事」の時もあるものの、「物事が認識するとは?」となっちゃいますね。この場合は、「物事が示す、特定する」のように訳せばしっくりくるでしょう。
- In many cases, the clothes people wear identify them as belonging to a particular social class.
(多くの場合、人々が着ている服は彼らが特定の社会階級に属していることを示す) - The press has identified several people they think are likely to be appointed to government posts in the autumn.
(報道機関は秋に政府要職に任命される可能性が高いと思われる人物を数人特定した) - The document must identify you by name and bear your signature.
(文書はあなたの名前が記載され、署名がなければならない)
自動詞の場合
identify は、自動詞だと自分自身のことを指し、目的語を取りません。
identify as は「自分自身を~として認識する」。identify with は「自分自身を~と同じと認識する」 「自分自身を同じだと考える」 「共感する」です。
- Someone who is assigned male at birth may identify as female.
(出生時に男性と指定された人が女性として認識する場合がある) - Voters identifying as Republicans dropped by 2 percent.
(共和党支持者と自認する有権者は2パーセント減少した) - Many women of normal weight feel unable to identify with the super-thin models in fashion magazines.
(標準体重の女性の多くはファッション雑誌の極細モデルに自分を重ねることができないと感じている) - I can't identify with men like him.
(私は彼のような男性に共感できない) - I didn't enjoy the book because I couldn't identify with any of the main characters.
(どの主要登場人物にも共感できなかったのでこの本を楽しめなかった)
identify の形容詞
identify の形容詞は identifiable [aidéntəfàiəbl] で、「識別して認識できる」です。発音にご注意。
identifiable:
意味は「その存在を認識できる」、あるいは「その存在の正体を認識できる」。補語になる叙述用法も、名詞を修飾する限定用法も、どちらもOKです。
- identifiable:
- 「認識できる」
- The house is easily identifiable by the large tree outside.
(家は外にある大きな木で容易に認識できる) - Pollution release needs to be made a more clearly identifiable criminal offence.
(汚染物質の放出はもっと明確に認識可能な犯罪行為とする必要がある) - The fingerprint on the door was not identifiable.
(ドアの指紋は識別できなかった)
identified は形容詞?
identified は通常は過去分詞ですが、形容詞的に名詞を修飾することも一応できます。受身形になって、「確認された」「特定された」。
unidentifiable と unidentified
identifiable に un- が付いた unidentifiable は、「誰 / 何なのか識別して特定できない」。
ただし、unidentified という形容詞もあります。identified は形容詞でないのに、unidentified は形容詞。
unidentified は not identified と同じで、「確認されない」「特定されない」。
何らかの理由で特定できないわけでなく、もともと身元や正体が「明かされていない」「確認されていない」存在を示します。
identifiable と同じような訳になるものの、ニュアンスが微妙に違います。
- unidentifiable:
- 「特定できない」
- unidentified:
- 「特定できる存在ではない」
unidentifiable
- He had an unidentifiable accent.
(彼には識別できないアクセントがあった) - Much of the food was unidentifiable, but at least it was edible.
(食べ物の多くは識別できなかったが、少なくとも食べられるものだった) - Many of the bodies were unidentifiable except by dental records.
(遺体の多くは歯科記録以外で身元が特定できなかった)
unidentified
- The painting was sold to an unidentified American dealer.
(この絵画は正体不明のアメリカ人ディーラーに売却された) - The airline is currently having merger talks with an unidentified rival.
(同航空会社は現在未確認のライバル会社と合併交渉中だ) - Three of the victims remain unidentified.
(犠牲者のうち3人の身元は不明のままだ)
UFO のうんちく
そんなわけで、UFOは、unidentified flying object(未確認飛行物体)なわけですね。
「未確認」とされているので、もし異星人の飛行物体であると確認されれば、厳密な意味ではUFOとは呼べないそうです。
仮に、きちんと認識された場合は、identified flying object(確認済飛行物体)、「IFO」になるとのこと。
UFOについて調べたので、少しうんちくを…。
UFOは flying saucer(空飛ぶ円盤)という呼称もあり、saucer は「受け皿」で、もとは中世ラテン語と古フランス語の「ソース皿」から来たそう。
1947年にアメリカ人のケネス・アーノルド氏が、9個の奇妙な物体を目撃した事件をきっかけに、flying saucer という言葉が広まったようです。
また、第二次世界大戦中に、連合軍の航空機パイロットによって、ヨーロッパと太平洋の上空でさまざまなUFOまたは謎の光球が目撃されました。
この謎の物体や現象は、foo fighter(フー・ファイター)と呼ばれたとか。foo という語に意味はなく、おそらくフランス語で「火」を表す feu に由来すると考えられてます。
呼称のきっかけは、当時シカゴの新聞に掲載されていた 『Smokey Stover(スモーキー・ストーヴァー)』というナンセンスマンガ。
マンガのキャッチフレーズは、"where there's foo, there's fire"(foo があるところに火がある)でした。
このマンガの読者だった夜間戦闘飛行隊のレーダーオペレーターが、上空で謎の赤い火の玉を目撃し、"fuckin' foo fighters"(くそったれなフー・ファイター)と呼んだことが始まりです。
ちなみに、2021年にアメリカ軍は新たに「UAP(unidentified aerial phenomena)」(未確認空中現象)という言葉を定義しています。
objiect(物体)ではなく、aerial phenomena(空中現象)という言葉に変えて、エイリアン的イメージを払拭したかったのかも。結果は裏目に出たけれど…。
まとめ
identify と identity と identification、unidentifiable と unidentified の違いをメイントピックにしたつもりだったのに…。UFOに興が乗りました…。
英語を多く聴いて多く読む
英語学習誌は、雑誌と学習本の中間のような存在で、とっつきやすいです。『多聴多読マガジン』は学習要素もりもりながら、雑誌として面白い。
タイトル通り「多聴」「多読」、そして「口を動かす」ことが目的。毎回テーマが斬新で、かなり独特。スピーキングにも力を入れている、ちょっと変わった学習誌です。
多聴多読マガジン
「話す」というアウトプットに積極的に取り組んでいる英語学習誌は少ないと思います。英語講座を利用せずに、学習誌で学びたい方に。
少しでも理解の助けになれたら幸いです。お読みいただき、ありがとうございました。
(引用・参照元:Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, LDOCE, Online Etymology Dictionary, Wikipedia, HiNative)