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floss の5つの用法
「フロス」とは、何を示すかご存じでしょうか。
私は「デンタルフロス」くらいで、他の意味は知りませんでした。ところが、驚くべきことに floss はスラングを含めて、まったく違う5つの意味があります。
- floss:
- 「デンタルフロス」
- 「細い絹糸」「綿」
- 「Tバック」 butt floss の形で
- 「フロスダンス」
- 「見せびらかす」
floss の一般的な意味
「デンタルフロス」
floss の意味として、どの辞書にも載っているのは「デンタルフロス」です。「歯の間を掃除するのに使われる非常に細い紐」のこと。
日本語と同じく、dental floss とも言いますね。
「デンタルフロスで歯の間を掃除する」という動詞でも使われます。動詞は自動詞も他動詞もあり。flossing は名詞にもなります。
- In the bathroom she slid dental floss in and out between her teeth.
(バスルームで彼女はデンタルフロスで歯を掃除した) - Do this for five minutes twice a day, then floss.
(これを1日2回5分間行い、その後フロスで歯を掃除しなさい) - He's trying to floss his teeth now.
(彼は今歯をフロスで掃除しようとしている) - Regular flossing is essential for healthy gums.
(歯茎の健康には定期的なフロスの使用が不可欠だ)
「細い絹糸」「綿(わた)」
floss はもともと 「細い絹糸」「綿(わた)」を意味します。
イギリス英語で、candyfloss といえば「綿菓子」。アメリカ英語だと cotton candy です。
- His black hair, fine as floss silk, hung in glossy curls about his face.
(彼の黒髪は真綿のように細く、顔の周りに光沢のあるカールとなって垂れ下がっていた) - Scones were her speciality and light as floss.
(スコーンは彼女の得意料理で、綿のように軽かった) - We stuck this white stuff like candyfloss on it ― angel's hair it was called.
(綿菓子のような白いものをその上に貼り付けた。それは天使の髪と呼ばれた)
floss の由来
おそらくオック語の「ゆるい、絹の撚(よ)れがない」を表す flos から借用され、ラテン語の fluxus「流れる、たるんだ、柔らかい」に由来するとか。
1758年に、Samuel Pullein(サミュエル・プーリン)の The Culture of Silk: Or, an Essay on its Rational Practice and Improvement『絹の文化:あるいは、その合理的な実践と改善に関するエッセイ』の中で、初めて英語として登場したそう。
「デンタルフロス」も、ここから来ているのでしょう。
他にも、meat floss(ミートフロス)は、「ポークフロス」「ミートウール」などの名前で呼ばれる、粗い綿に似た軽くてふわふわした食感を持つ乾燥肉のこと。
filter floss(フィルターフロス)は、水槽でゴミなどをろ過する素材で、ポリエステルや綿で作られたものです。
floss のスラング
「Tバック」
butt floss は、スラングで「お尻の間に布の帯が入ったタイプの下着またはビキニボトム」を指します。つまりは「Tバック」。
歯の間に挟むデンタルフロスに似ていることから、そう呼ばれるようです。ちなみに、「Tバック」は一般的には (butt) thong [θɔŋ]。
thong も、もとは「革ひも」の意味。butt は buttocks(お尻)のスラングです。
- I don't like to advertise my butt floss, but she has no problem wearing a thong.
(私はTバックを宣伝するのは好きではないが、彼女はTバックを履くことに抵抗がない) - My mother called my bathing suit “butt-floss!”
(母は私の水着を「お尻用フロス」と呼んだ) - I could never wear a butt thong.
(Tバックを履くことは決してできなかった)
thong は数えられる名詞ですが、floss は数えられない名詞のため、a が付きません。
「フロスダンス」
floss は「フロス」というダンスのことでもあります。腕を体の前後で、腰と反対方向に振る動きで、インターネットで広まりました。若い人に人気。
名詞で the floss、または flossing。動詞として「フロスのダンスをする」。
「Tバック」はまだイメージできるとして、これはなぜ floss なのか、由来についてはまったく分かりませんでした。
- The floss dance began on Instagram and now everyone is flossing away.
(フロスダンスはインスタグラムで始まり、今では誰もがフロスをしている) - The latest dance craze is known as flossing.
(最近のダンスの流行はフロッシングとして知られている) - It's so embarrassing when your parents try to floss.
(親がフロスをしようとするのはとても恥ずかしい) - There's a video of some primary school kids teaching their teacher how to do the floss.
(小学生たちが先生にフロスのやり方を教えているビデオがある)
「見せびらかす」
こちらは、アメリカのスラングで「見せびらかす」という動詞です。
show off と同義ですが、floss のほうは自動詞で、目的語を取りません。これも、flossing なら名詞で「見せびらかし」。
注目や賛辞を集めるために、高価な物を持っていることを誇示する行為を示します。物質的な富や豊かさを見せつける時に使うことが多いですね。
由来ははっきりしないものの、おそらく「デンタルフロス」に由来するとか。
というのも、贅沢なものを誇示することは、歯の間をきれいに磨いておくことと関連しているそう。あまりピンとこない説だけれど、まあスラングだし…。
- You better stop flossing or I'll knock you down.
(見せびらかすのはやめた方がいい。さもないと倒す) - Take a look at my new car. I'm about to floss for the ladies at the club.
(新しい車を見てくれ。クラブの女性たちに見せびらかすんだ) - You’re definitely flossing with your success.
(きみは間違いなく成功して自慢げだ) - Stop your flossing.
(見せびらかすのはやめろ)
「フロッシング(ボディケア)」
もうひとつ、番外編ということで挙げておきます。資料が乏しかったので、あまり一般的ではないのかもしれません。
flossing(フロッシング)は、ドイツのスポーツ理学療法士、Sven Kruse(スヴェン・クルーゼ)氏が考案したボディケアのひとつです。
ゴムバンド(floss band)を脚など身体に巻き付け、圧迫しながら筋肉を動かすことで筋膜の状態が改善するリカバリー法だとか。
日本語では、フロッシングに関するWebサイトや本はいくつかあるものの、英語版は見つけられませんでした。
まとめ
特に floss の「見せびらかす」の意味は、イギリス人には通じないかも…。同じ英語でも、スラングはもう独自の語。日本語の方言も同じですね。
英語力アップには音読練習を
テキストを見ながら、英語を普通のスピードで音読できますか?
実はこれ、案外難しいんです。思ったよりも、口が回らなくて付いていけない…ということになりがち。
音読は、英語を頭で即座に処理するための効果的な練習になります。
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シャドーイングは、聴く力と発話力を高めるお口の体操。初めは付いていくのが大変ですが、映画の台詞なので、登場人物気分でなかなか面白いですよ。
少しでも理解の助けになれたら幸いです。お読みいただき、ありがとうございました。
(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, LDOCE, Merriam-Webster, FluentSlang, Wikipedia, Tarzan Web)