spade 「鋤」 と hoe 「鍬」 の違いは? 「call a spade a spade」 の意味と語源

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spadeとfoeの違い

 

spade と hoe はどう違う?

ノーマルのエイ
単語っていうより、鋤と鍬の違いがそもそも分からない
目閉じのソウ
普段使うことがなければ、そういうものだろう

農具の「鋤(すき)」と「鍬(くわ)」は、よく似ていてどちらがどちらか区別が難しいですね。

ただ、この2つは用途と形状が異なります。spade(鋤)は、持ち手から刃の先まで一直線になっているものです。

Oxfordによれば、刃が長方形なのが spade で、スコップ状のものが shovel、フォーク状のものが fork

Cambridge では逆で、刃が長方形なのが shovel、スコップ状のものが spade になってます。ちなみに、LongmanはOxfordと同じでした。

The Free Dictionaryではどちらも shovel になってたりするので、spade と shovel の区別は曖昧なのかもしれません。

hoe(鍬)は、持ち手の部分がなく、棒に対して刃がほぼ直角に付いたもの。

spade は土を掘り起こして耕し、hoe は手前に引いて、雑草を取り除いたり地面を耕したりします。

 

spadeとfoeの違い

 

スコップは scoop

日本語ではよく「スコップ」と言うけれど、scoop は「アイスクリームなどを盛り付けるのに使われる、深いボウルの付いた大きなスプーンのような道具」です。

発音は scoop [skúːp]。

ice-cream scoop は「アイスクリームスクープ」は、もう日本語になってるでしょうか。これはちゃんとスクープと言うのに、なぜか「スコップ」はスコップのままですね。

  • Just one scoop of mashed potato for me, please.
    (マッシュポテトを一すくいだけください)

 

spade の用法

bucket and spade はイギリス英語で、「子供の遊び用の小さなプラスチックのバケツとスコップ」を指します。アメリカ英語だと、pail and shovel

spade も shovel も、通常は農具に使う大きなサイズのもので、片手で使う小型のシャベルは trowel(移植ごて)です。

  • There was a garden spade in the shed.
    (小屋の中に園芸用の鋤があった)
  • The kids were playing with buckets and spades and splashing about in the water.
    (子供たちはバケツとスコップで遊び、水を跳ねて遊んでいた)
  • He ran down to the sea's edge with his bucket and spade.
    (彼はバケツとスコップを持って海辺まで走った)

spade は「鋤」の他、トランプの「スペード」でもあります。

語源としては、blade(刃)や paddle(船のオール、かい)、spatula(ヘら)と関連しているそう。

「スペード」というカードの種類なら spades と複数形ですが、「スペードのカード」を示す場合は、単数の a もOKです。

  • You must play a spade if you have one.
    (スペードを持っていれば、出さないといけない)
  • If you'd played the four of spades, we would have won.
    (もしきみがスペードの4を出していたら、我々が勝っていた)
  • All I needed was the king of spades.
    (必要だったのはスペードのキングだけだった)
ノーマルのソウ
ちなみに、トランプの「クラブ」は club
ノーマルのエイ
「クローバー」じゃないの?
横目のソウ
英語では、clover(クローバー)とは言わない

トランプの「スペード」は spades、「ハート」は hearts、「ダイヤ」は diamonds、「クラブ(クローバー)」は clubs です。形からすれば、clover なのに…。

  • spade
    1. 「鋤」
    2. 「トランプのスペード」
    3. 「(タブー語) 黒人の蔑称」

 

call a spade a spade(率直に言う)

spade を使ったイディオムもいくつかあります。

call a spade a spade は「鋤を鋤と呼ぶ」が直訳で、「失礼だったり不快なことであっても、率直に本当のことを言う」の意味。

日本語で言うところの「歯に衣着せずに言う」でしょう。

  • I believe in calling a spade a spade.
    (物事をありのままに言うことを信条としている)
  • Why not call a spade a spade and say that she's incompetent, if that what you're thinking.
    (もしそう思っているなら、彼女は無能だと率直に言えばいいのではないか)
  • I'm not at all secretive, and I'm not afraid to call a spade a spade.
    (私はまったく秘密主義ではなく、はっきり言うことを恐れない)

 

<call a spade a spade の由来>

最も初期の起源は、古代ギリシア語のことわざ「イチジクをイチジクと呼び、ボウルをボウルと呼ぶ」にまで遡ります。

「率直な言葉を使い、たとえ質素でも粗末でも、物事を正しい名前で呼ぶ」という意味だとか。

これをエラスムスという方が、英語に翻訳する際に spade(鋤)に置き換えたそう。意図的に変えたとも、誤訳とも言われています。

どちらにせよ、もとは「鋤」の意味だった spade が、20世紀に「黒人を意味する蔑称」として広まりました。

トランプのスペードが黒いために、そうなったのかもしれません。

Phrase Finderによると、1647年のJohn Trapp(ジョン・トラップ)氏の著書の中に、以下の一節があり。

Gods people shall not spare to call a spade a spade, a niggard a niggard.
(神の民は、スペードをスペード、けちをけちと呼ぶことを惜しまない)

niggard は侮辱語です。であれば、おそらく spade も同じく。niggardnigger(「黒人」の蔑称)を連想させます。

実際は2つの語は関係がないものの、発音とスペルが似すぎているので、時を経るうちに、互いに何やかやと影響したようです。

ただ、トラップ氏に「黒人」を示す意図がなかったのは確かです。

こういった経緯もあってか、call a spade a spade は、人種差別的と受け取られることもあるため、使わないほうが無難かも。

 

in spades(かなり)

in spades は、「大量に」「かなり」と量や程度が大きいことを示します。

  • My dog has personality in spades.
    (私の犬はかなり個性がある)
  • Beauty, intelligence, wealth ― my mother had all of them in spades.
    (美しさ、知性、富、母はそれらすべてを豊富に持っていた)
  • This campaign has had drama in spades, but not much discussion of the issues.
    (この選挙戦には多くのドラマがあったが、問題についての議論はあまりなかった)

 

<in spades の由来>

起源は、 bridge(ブリッジ)のようなトランプゲームと考えられています。

「ブリッジ」では、4人のプレイヤーが時計回りに1枚ずつカードを出し、最も強いカードを出した人が「トリック」(勝ち)を取ります。

数字で言えば、A(エース)が一番強く、スーツ(マークの種類)はスペードが最強。そこから「かなり」といった意味に転じたとされます。

 

hoe の用法

目閉じのソウ
hoe を使ったイディオムもあるが、若干事情が厄介だ
怒りのエイ
最初からそんなふうに言われたら、引くって

正真正銘 hoe [hóu] は「鍬」なのですが、発音が「売春婦」を意味する whore [hɔr] と似てます。

さらに、whore はアメリカ英語で hoeho と表記されたりするので、余計混乱を招きます。複数形も hoeshos です。

  • hoe
    1. 「鍬」
    2. 「(=whore) 売春婦」

 

hard row to hoe(困難な仕事)

hard / tough / long row to hoehoe は「鍬で掘る」という動詞で、row に付く形容詞は hard、tough、long どれでも同じ意味です。

直訳すれば「鍬で掘るのに困難な列」。作物を収穫するためには、まず畝を作ったり、大変な作業をこなさないといけません。

すなわち「目的を達成するためのハードワーク」を表します。

  • Teachers have a tough row to hoe in today's schools.
    (教師は今日の学校では大変な仕事をしている)
  • I know finishing this thesis will be a hard row to hoe.
    (この論文を終えるのは、困難な仕事だと分かっている)
  • Tax reform was one of the new president's primary campaign promises, but it will be a long row to hoe.
    (税制改革は新しい大統領の主要な選挙公約の約束の1つだったが、それは困難な仕事だろう)

 

hoe one's own row(自分の仕事をする)

このイディオムは「自分の列を鍬で掘る」 「(他人に干渉せずに)自分の仕事を忍耐強く行う」こと。

日本語の「畑違い」という言葉も、自分の専門分野や仕事を「畑」と表現してますね。

  • Hoe your own row, will you? I can take care of my problems just fine.
    (自分のことをしたら? 私は自分の問題にうまく対処できる)
  • He didn't get involved in other people's fights. He just hoed his own row.
    (彼は他の人の戦いに関わらなかった。彼は自分の仕事を行った)
  • I really wish she would hoe her own row and stop asking me about my finances.
    (私は彼女が自分のことをして、私の経済状況について尋ねるのをやめることを本当に願っている)

 

bros before hoes(女より男同士)

bros before hoeshoe は「鍬」ではありません。

ただ「売春婦」では極端なので、hoe は軽蔑的な含みを込めた「女性」でしょう。bro はアメリカのスラングで「仲の良い男友達」。

「女性より先に男友達」というのは、「女性との関係よりも男同士の友情が大事」という黄金律です。

  • Don't ditch us for that girl you just met! Bros before hoes, bro!
    (会ったばかりの女の子のために俺たちを捨てるな! 女より男同士だ!)
  • I thought it was bros before hoes, but apparently not if Jake's dating my ex-girlfriend now.
    (女より男同士だと思っていたが、ジェイクが今僕の元カノと付き合ってるなら、そうじゃないらしい)
  • Of course your girlfriend can't come out with us! Bros before hoes, remember?
    (もちろん、きみのガールフレンドは一緒に出かけられない! 女より男同士だ、覚えてるか?)

 

まとめ

ノーマルのソウ
こんなふうに、spade や hoe といった農具一つ取っても、奥が深い
困りのエイ
雑にまとめたね

アウトプットから始めよう

【シャドーイング英会話アプリ】

リスニングだけがんばっても、英語が話せるようにはなりません。インプットだけでなくアウトプットがとても大切。

普通の速さで英語を口に出してみるって、思ったより大変です。まず、口が回らなくて、付いていけない。

シャドーイングは、聴く力と発話力を高めます。

『LanCul(ランカル)』は映画やドラマの台詞をシャドーイング練習できるアプリです。楽しみながら口の体操を。

 

(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Wikipedia, Online Etymology Dictionary, Collins Dictionaries, LDOCE, Cambridge Dictionary, Phrase Finder)