ifの意味は「条件」や「仮定」だけじゃない 事実を表すif

ifの意味は「条件」や「仮定」だけじゃない 事実を表すif

 

if の意味のいろいろ

突然ですが、下の文はどうやって訳しますか?

  • Let her know if he loves her.

訳し方は、二通り考えられます。

  1. 「彼が愛しているかどうか、彼女に知らせよう」
  2. 「もし彼が愛しているなら、彼女に知らせよう」
怒りのエイ
どっちも大きなお世話。最初のほうは、なんか悪意すら感じるし
横目のソウ
論点がずれてるんだが

「~かどうか」と「もし~ならば」

1は、if 以下を名詞節と考えた場合です。if「~かどうか」という意味で、if節は know の目的語になってますね。

if を whether に置き換えても構いません。

「彼が愛しているかどうか」は明言されていないので、「愛していない」可能性もあるわけですが、どちらにしても知らせるということになります。

一方、2は副詞節で「もし彼が愛しているならば」という条件付きです。「愛している」場合に知らせます。

名詞節か副詞節か

どちらの意味なのかは、たいてい文脈で分かると思います。前後関係から判断がつくでしょう。

単体で判断する方法としては、ざっくり言うと、動詞が ask、know、wonder、see などの時は、名詞節の可能性が高いです。

また、動詞が他動詞で、if節がなくなったら文が成立しないような場合は名詞節です。

ただ、自動詞にも他動詞にもなる動詞がほとんどで、他動詞と決めつけられない部分もあり、曖昧だったりします。

たとえば、最初に挙げた Let her know if he loves her の know は「~を知る」という他動詞の他、目的語を取らない「知っている」という自動詞かもしれません。

はっきりさせるには、if を whether に代えて、Let her know whether he loves her とすれば、「~かどうか」の意味になります。

あるいは、if節を前に持って来て、If he loves her, let her know とすれば、「もし~なら」で確定です。

ifの「~かどうか」と「もし~なら」の意味

「もし~しても」の意味

if が副詞節を導く場合、「もし~なら」の他に「もし(たとえ)~しても」のように、even if と同じ使い方をすることがあります。

  • I wouldn't work for them (even) if they paid me twice my current salary.
    (たとえ今の給料の2倍を支払ってもらっても、彼らのもとでは働かない)
  • If she was there, I didn't see her.
    (彼女がそこにいたとしても、私は見ていない)
  • If there was any disappointment it was probably temporary.
    (失望があったとしても、それは一時的なものだ)

ところで、最初の例文は仮定法過去(if 主語+動詞の過去形, 主語+would+動詞の原形)だなと納得できるんですが、2番目と3番目に関して「?」となりませんか。

念のため、引用元をリンクしておきます。
If definition and meaning - Collins English Dictionary

if 主語+過去形, 主語+過去形 とは一体…?

困りのエイ
型に当てはまらないなら、仮定法じゃないんじゃない?
目閉じのソウ
単刀直入に言えば、そう。

「~だけれども」の意味

仮定法過去なら、たいてい if 主語+were になるし、主節に would、could などの助動詞を伴うはずなのに、それがありません。

実はこれは、仮定ではなく、重要ではない事実を認める時に使われる if です。even though と同じ。

日本語でも、「たとえ~だとしても」とまるで仮定法のように、事実だと分かっていることを言ったりしますね。

「たとえ彼女が僕を愛していなくても、僕が彼女を愛している」と言えば、十中八九「彼女は愛していない」ことを示すのではないでしょうか。

実際の意味としては、「これこれの事実があるけれども、〇〇だ」です。

Oxford にも、同様の用例が挙がっていました。こちらは、if節の動詞が現在形です。

  • If she has any weakness, it is her Italian.
    (仮に彼女に弱点があるとしても、それはイタリア語だ)

ただし、これは普通に「もし~なら」の条件節とも受け取れます。この1文だけでは、判断がつきません。

対比の「~だけれども」

また別の例ですが、主に形容詞を対比させて「~だけれども」という用法もあります。if節は、主語や動詞がある文になっていません。

  • It was a hot, if windy day.
    (風は強かったが、暑い日だった)
  • He's a good driver, if a little over-confident.
    (彼は少し自信過剰ではあるが、いいドライバーだ)

最初の例文は、a は hot の前に付いていて、if の後には付いていないことにご注意ください。2番目の例文も、if の後の a は a little(少し)の a です。

 

even if と even though の違い

余談になるかもなので、サクッと触れておくと、一応 even if と even though は違います。

  • even if:「たとえ~でも」という仮定の話
  • even though:「たとえ~でも」という仮定の話と、「~だけれども」という事実に即した話

 

if not の用法

ノーマルのソウ
if not は必ずしも「もし~でないならば」の意味とは限らない
ノーマルのエイ
まあ、これまでの流れからすると、そうだよね
  • Do you want that cake? If not, I'll have it.
    (そのケーキ欲しい? もし欲しくないなら、私がもらう)

これは普通の使い方。if not は、if you don't want that cake を省略した形で、「もし~でないなら」という条件を示しています。

でも、下の例文は条件でも仮定の話でもありません。

  • She won her team's admiration, if not its award, for her performance in the playoffs.
    (プレーオフでの活躍で、彼女は表彰はされなかったものの、チームの称賛を得た)
  • Sometimes, that standard is quite difficult, if not impossible, to achieve.
    (その基準を達成するのは、不可能ではないにせよ、かなり難しいこともある)
  • I will be ready in a couple of weeks, if not sooner.
    (遅くとも、数週間後には準備できているだろう)

時制に関しては、過去も現在も未来もあり。これらは、「~ではないけれど、〇〇」「〇〇だが、~というわけではない」の意味です。

if not も完全な文ではなく、あれこれが省略されて、形容詞やら名詞やら副詞やらだけが残っています。

 

まとめ

if は他に、when(~する時は)や whenever(~する時はいつでも)のニュアンスだったりもします。

厳密に言えば「条件」ではないものの、「もし~すると」のように訳しても意味はそれほど変わらないんじゃないかと思い、ここでは触れませんでした。

大きく分類すると、名詞節を導く「~かどうか」、副詞節を導く「もし~なら」「もし~としても」「~だけれども」の4つではないでしょうか。

if については、まだ本題に入れなかったので、続きは次回へ持ち越します。

  元記事 if のおもしろ用法と if only と only if の違い をリライト

(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, Collins Dictionaries)