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手はミステリー
- The hand is quicker than the eye.
(手は目より速い)
これは、マジシャンが観客の目に留まらないうちに、非常に素早く手品を披露するため、仕掛けが分からないことを言う決まり文句です。
hot hand とは?
hot hand という不思議現象をご存じでしょうか。
「勝ったり成功したりということが連続して起こる状態」を指し、現在はわりと信ぴょう性が証明されてます。
「いい波が来ている」「ツイている」「波に乗っている」に近いかもしれないですね。よく have a hot hand(ホットハンドを持っている)のような表現をします。
hot hand という現象なので、複数の時は hot hands になるようです。
- I've had a hot hand, but I still think we should leave the casino now.
(ツイていたが、それでももうカジノを出るべきだと思う) - Their forward seems to have a hot hand in the game tonight.
(彼らのフォワードは今夜の試合で波に乗っているようだ) - The team decided to ride the hot hand and play Johnson.
(チームは波に乗り、ジョンソンを起用することを決めた)
ride the hot hand は「その時点で波に乗っている選手を起用する」戦略のこと。
hot hand の由来
hot hand はバスケットボールが起源で、シュートが成功した選手は、次のシュートでも得点する可能性が高くなるとされています。
成功した経験は、選手の心理的態度とその後の成功率に影響を及ぼすとか。
といっても、その証拠は長年の研究でもはっきりしないままで、「ホットハンド」は誤った信念だとされてきました。
心理学用語で、hot hand fallacy(ホットハンドの誤謬)と呼ばれるものです。fallacy は「間違った考え」。
ただ、近年では統計分析を用いて、「ホットハンド」はあながち間違いではないとする証拠も提示されてます。
スポーツに限らず、日常のいろいろな事に対して、過去のどんなに小さな成功体験でも、それを踏まえてがんばれば何事もきっとうまく行く、と信じたいですね。
dead hand とは?
dead hand は「過去に大きな影響力があり、現在にも影響を与えている物事」を表します。抑圧や圧迫、呪縛といったネガティブな影響です。
「過去の遺物」のニュアンスで dead なのでしょう。
- Will they be thwarted by the dead hand of bureaucracy?
(彼らは官僚制度の死んだ手によって阻まれるだろうか?) - Psychotherapy explores the ways in which the past has shaped people, and how its dead hand continues to deform their lives.
(心理療法は、過去がどのように人々を形作ってきたのか、そしてその死んだ手がどのように彼らの人生を変形させ続けているのかを探求する)
dead hand の由来
「死んだ手」というのは、古い英語の単語 mortmain を直訳したものだそう。古フランス語の「死んだ」を意味する morte と「手」を意味する main の組み合わせです。
mortmain [mɔ́rtmèin] は、自分の死後にその財産をどのように使うかを指示し、死後も死者自身が財産を管理するという考えに基づいたもの。
会社や、教会、慈善団体に永久に残される財産を指します。
死後も影響力を行使するというところから、現在使われる dead hand の意味に発展したようです。
dead man's hand とは?
dead man's hand は、“Wild Bill” Hickcock(ワイルド・ビル・ヒコック)が死亡時に持っていたとされるポーカーの手札のことです。
ヒコックは、西部開拓時代の英雄で、ゲーム中に殺害されました。
ポーカーの「死者の手」の手札はいくつかあり、ヒコックについても、どのカードを持っていたか正確に記されていません。
ただ現在は、「黒のエースと黒の8からなる2ペア」ということで定着しています。「死者の手」は不吉の暗示なのでしょう。
- You don't really think the Dead Man Hand is a portent of things to come?
(デッドマンスハンドが来るべきことの前兆だと本当に思っていない?) - I involuntarily flinched when I saw I'd been dealt the Dead Man's Hand.
(デッドマンズハンドが配られたのを見た時は無意識にギクリとした)
first hand とは?
まさに「初手」と言いたくなるけれど、そうではありません。first hand は「他の人や本から得た情報でなく、自分で直接見たりしたりすること」。
「自分自身で直接に」です。
second-hand が「中古の」や「他人から聞いた」「また聞きの」の意味なので、そこから類推できますね。
first hand は、firsthand と1語でも first-hand とハイフンでつないでもOK。どちらも、形容詞や副詞として使われます。
first hand は一応名詞のため、(at) first hand と at を付けると、副詞句として使えます(といっても、at は省略可)。
- The President visited the area to see the devastation at first hand.
(大統領はその惨状を直接見るためにその地域を訪れた) - I've seen first hand how reading can change children's lives.
(読書が子どもたちの人生をどのように変えることができるかをこの目で見てきた) - Most of the older reporters have experienced war firsthand.
(年配の記者のほとんどは戦争を直接体験している) - I had first-hand experience of that.
(私はそれを直接経験した)
second hand の用法
ちなみに、second-hand も、secondhand と1語で表記しても同じですが、second hand と2語にすると、「(時計の)秒針」という別物になってしまいます。
- The second hand had its own dial at the bottom of the face.
(秒針は文字盤の下部に独自の目盛り盤を備えていた) - The second hand had stopped where it had met the pin inserted near the 55-second mark.
(秒針は55秒付近に差し込まれたピンに当たったところで止まっていた)
ところが、ややこしいことに (at) second hand は、「人づてに」「人から間接的に」の意味でも使えたりします。
- I wasn't present at the meeting. I heard about it at second hand.
(私はその会議に出席しなかった。人からそのことを聞いた) - Frank tells stories about the Gulf War, but he got them second hand.
(フランクは湾岸戦争について話すが、それは受け売りだった) - It may not be true ― I only heard it second hand.
(それは真実ではないかもしれない。私はそれを人から聞いただけだ) - I can't trust this secondhand gossip!
(こんな受け売りの噂話は信用できない!)
third hand の用法
second-hand smoke(二次喫煙)という語は辞書に載ってるものの、third-hand smoke(三次喫煙)は造語だそう。
「三次喫煙」は、タバコを消した後に残る有害物質を吸入することです。
ただ、third-hand 自体は辞書にあります。意味は、「複数の人から人へと伝え聞いて」。second-hand に比べて、間にもっと人が入った感じです。
こちらも 形容詞や副詞として使われ、表記は third hand、thirdhand ともにあり。
- I'm fed up of hearing about these decisions third hand!
(こういう決定を他人から聞くのはもううんざりだ!) - I heard thirdhand, so who knows if that information is actually true.
(第三者から聞いたので、その情報が実際に真実かどうかは誰にも分からない) - Try to pretend that this isn't a thirdhand dress!
(これは古着のドレスではないふりをして!) - He bought the car third-hand five years ago.
(彼はこの車を5年前に中古の中古で購入した)
まとめ
形容詞+hand の用法はまだいろいろあります。全部取り上げたいけれど、収拾がつかなくなりそうなので、とりあえずこの辺で〆ます。
アウトプットから始めよう
リスニングだけがんばっても、英語が話せるようにはなりません。インプットだけでなくアウトプットがとても大切。
普通の速さで英語を口に出してみるって、思ったより大変です。まず、口が回らなくて、付いていけない。
シャドーイングは、聴く力と発話力を高めます。
『LanCul(ランカル)』は映画やドラマの台詞をシャドーイング練習できるアプリです。楽しみながら口の体操を。
(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Idiom Origins, Merriam-Webster, LDOCE, Wikipedia)