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- 「with a capital+英字」 の用法
- 「英字-word」 の用法
- 「spill the T」 の用法
- 「to a T」 の用法
- 「dot the i's and cross the t's」 の用法
- まとめ
「with a capital+英字」 の用法
書き言葉では、アルファベットの大文字と小文字は区別しますが、日常話す時は区別はできません。
というか、する必要がないです。ところが、わざわざ with a capital~(大文字の~で)と付け足して言う場合があります。
- You're so naive with a capital N.
(あなたはまさに世間知らずだ)
文字通り直訳すれば、「あなたは大文字の "N" で世間知らずだ」。この "N" は naive の最初の文字のことです。でも、どういう意味でしょう?
実は、これは強調表現です。
書かれた文章では、大文字はよく強調のために使われますね。特に文頭や固有名詞など以外でも、大文字で書いたりすることがあります。
上の例文でも、書き言葉なら、"You're so NAIVE." のようにすればOKです。ただ使いすぎると、字面がうるさく感じるかもですが。
口語では、そういう方法が使えないので、何らかの単語を強調するために、単語の後に with a capital~(大文字の~で)のフレーズを付けることになります。
何かの単語の後に付けて、その単語の頭文字を「大文字だ」と強調するわけです。
どの単語でも応用可能で、そのアルファベットで始まる単語さえあれば、A~Z全部の英字で使用できます。
- with a capital+「 の頭文字」:
- 「まさに〇〇だ」
- I am hungry with a capital H. Let's eat!
(お腹がぺこぺこだ。食べよう!) - The British tend to see things in terms of principles with a capital P.
(イギリス人は物事をまさに原則の観点から見る傾向がある) - It's not an emergency with a capital E. I can wait until the end of the day.
(それほど緊急事態ではない。一日の終わりまで待てる)
useless なのに 「Y」?
以下の動画では、ちょっと変わった使い方をしてます(全12秒)。
Say it. 'I am useless with a capital Y'.
(言うんだ。「私はまったく役立たずです」と)The Slammin' Salmon(2009)
あまりにもヒドいパワハラ発言…。台詞では、useless(訳に立たない)の強調として「with a capital Y」となってます。
本来の頭文字は "U" のはずなのに、なぜ "Y" なのか。
"U" を "you"(あなた)と掛けた言葉遊びで、useless を you-seless の含みで言っているからです。
you を useless と掛けた侮辱的な言い方。こんな上司のもとでは働きたくない。
with a+英字 か with an+英字 か
「with a capital+英字」では、a は capital に付くため、問題ありませんでした。では、capital がなかったら、a が付くのか an が付くのか、どちらだと思いますか?
- Is that ‘nit’ with an N?
(それは N の付く nit ですか?)
nit は「シラミの卵」で、イギリス口語では「愚かな人」の意味もあります。同じ発音の knit は「編む」「編み物」。
"N" はもちろん母音ではないものの、冠詞を付けるなら an です。というのも、N の発音が [en] だから。
アルファベットの文字単体としての用法なので、その文字の発音によって、a か an か異なってきます。
たとえば、H は [éiʧ]、F は [ef]、M は [em] のため、やはり an です。
映画『ラッシュアワー3』にも、こんな一連の台詞があります。
You tell him that his mama's an H.
(お前の母親は H で始まるやつだと言ってやってくれ)Rush Hour 3(2007)
Carter, I believe ‘whore’ is spelled with a W.
(カーター、「娼婦」のスペルは W だ)Rush Hour 3(2007)
上はカーターの台詞。「娼婦」の発音は「ホー」なので、頭文字は "h" だと思ったのでしょう。
リーが、whore [hɔ'ːr] のスペルは h ではなく、w だと訂正してます。
「お前の母さん娼婦」とか言われたら、そりゃ怒ります。日本語でも、子供同士の悪口で「お前の母さんデベソ」なんて言いいますね。
母親を貶める言葉は、悪口として世界中に存在するのかもしれません。
「英字-word」 の用法
N-word や F-word などは、とある口にしづらい言葉に代わる婉曲表現です。「Nで始まる語」「Fで始まる語」といったところ。
N-word は、nigger、negro など「黒人」の侮蔑的な呼び方を指しています。F-word はといえば、当然 fu-- でしょう。
- 英字-word:
- 放送禁止用語を表す語
Well, he used the N-word.
(彼はNで始まる語を使いました)Rush Hour 3(2007)
「spill the T」 の用法
"T" もなかなか面白いアルファベットです。なにせ、tea(お茶)や tee という同じ発音の単語が2つもあります。
tee については、「ゴルフでボールを打ち始める場所」あるいは「打つ前にゴルフボールを載せるために地面に刺す小さなピン」。
スラングで、T-shirt(Tシャツ)のことも tee と言ったりします。
spill the T とは?
lady Chablis(レディ・シャブリ)の言葉に、"to know my T, to tell my T"(私のTを知ること、私のTを話すこと)というものがあります。
この T は、truth(真実)の T です。
レディ・シャブリは、ジョン・ベレントのノンフィクション小説 Midnight in the Garden of Good and Evil に登場しました。
1997年に『真夜中のサバナ』として映画化もされたので、ご存じの方も多いのでは。
もともと tea には「ゴシップ」の意味合いがあり、さらに、レディ・シャブリが「T」を使ったことで、spill the T というフレーズが広まったようです。
Prime Videoで『真夜中のサバナ』(字幕版)を見る
spill the tea
spill は「こぼす」の他、話し言葉で「白状する」「(秘密を)漏らす」。
現在、spill the T のほうは、辞書では見つけられませんでした。spill the tea は「ゴシップを漏らす」「隠された秘密を漏らす」というスラングで載ってます。
- spill the tea:
- 「ゴシップや噂話を漏らす」
- She made the mistake of spilling the tea on her sister's love life.
(彼女は妹の恋愛生活の秘密を漏らすという間違いを犯した) - What happened at Blair's party last night? Spill the tea!
(昨夜ブレア首相のパーティーで何が起きたのか? 話してくれ!) - During our lunch break, we spilled the tea about the new project.
(昼休みに、新しいプロジェクトについて噂話をした)
spill the tea の由来
上で少し触れたように、spill the tea は、1990年代のアメリカの黒人ドラッグ文化から発祥したという説が濃厚です。
『真夜中のサバナ』のレディ・シャブリはドラッグ・クイーンで、spill the T の T は truth(真実)を指します。つまり「Tをこぼす」とは「真実を漏らす」こと。
レディ・シャブリのそれは、自分がトランスジェンダーだという「隠された真実」です。
もとは「真実」の意味だったものが「ゴシップ」に変化し、spill the tea は「ゴシップを話して聞かせる」になったようです。
T と tea の関連については、単なる言葉遊びなのか、はっきりしたところは分かっていません。
weak tea
weak tea は、spill the tea から派生したスラングで「薄いお茶」、つまり「興味を引かれない、面白くない退屈なゴシップ」のことです。
もとはゴシップや噂話に対し、「興味がない」という意を込めたフレーズでした。そこから広がって、「印象が薄く、がっかりするようなこと」を表すのにも使われます。
- Many have felt like the president's run in office has been rather weak tea compared to the bold promises he made during his campaign.
(多くの人々は、大統領が選挙キャンペーン中に掲げた大胆な公約に比べると、就任後の行いはがっかりだと感じている) - I can’t believe she built up the secret, but it turned out to be weak tea.
(彼女が秘密を作ったとは信じられないが、退屈なゴシップだと分かった)
「to a T」 の用法
また、to a T(あるいは、to a tee)なるイディオムもあります。「正確に」「完璧に」の意味。
この T が何を示すのか、いくつか説があり。
正確な図面を描くために使われる T-square(T定規)に由来するという説もあるけれど、最も有力なのは、T は tittle の略字、というものです。
tittle は、ドットのような「小さい点」で、文字表記の時に付ける、i や j などの上の点、または â, ä, ç の点も tittle です。
「小さな点まで」 「小さなところまで正確に、完璧に」になったとか。
- to a T:
- 「正確に」「完璧に」
- Her new job suits her to a T.
(新しい仕事は彼女にぴったりだ) - This book describes the feeling of the pre-war period to a T.
(この本は戦前の感情を正確に描写している)
「dot the i's and cross the t's」 の用法
dot the i's and cross the t's は、「細部にまで細心の注意を払う」。
このイディオムでは、I と T が小文字になってますね。実は、そこがポイント。
dot は「点を打つ」、cross は「交差させる」で、直訳は「i の文字に点を打ち、t の文字を交差させる」。
これは、i は上に点を打ち、t は横棒をひいて + のように交差させることを示します。
小学生に、文字を注意深く書くように諭したことから生まれた表現だそう。「事細かに正確に記す」「細部まで手を抜かない」ように、です。
- dot the i's and cross the t's:
- 「事細かに記す」「細部まで注意を払う」
- we haven't dotted the i's and crossed the t's, but the contract's nearly ready.
(詳細は取り決めていないが、契約はほぼ準備が整っている) - I made sure to dot the i's and cross the t's when installing the circuit breaker.
(ブレーカーを取り付ける時は、確実に細部にまで細心の注意を払った)
まとめ
アルファベットの文字は、B は bee(ハチ)、C は see(見る)、I は I(私)、U は you(あなた)など、単語と発音が同じ場合もあって、よく言葉遊びに使われますね。
英語力アップに音読練習を
テキストを見ながら、英語を普通のスピードで音読するのは、結構難しいです。思ったよりも口が回らなくて、なかなか付いていけません。
音読練習は、聴く力と発話力を高めるお口の体操。英語を頭で即座に処理するために効果的な方法なので、学習に取り入れてみてください。
少しでも理解の助けになれたら幸いです。お読みいただき、ありがとうございました。
(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, Collins Dictionaries, IMDb, FluentSlang, Merriam-Webster, U.S Dictionary)