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that's it の用法
that's it、that does it、that'll do で大きく違うのは、動詞が「be動詞」か「do」かという点でしょう。
3つをそれぞれ直訳すれば、「それがそれだ」「それはそれをする」「それはそれをするだろう」。どれも口語表現なので、フォーマルな状況では使いません。
that's it は、「それがそれだ」 「そういうことだ」と連想できます。「その通りだ」という是認ですね。
ところが反対に、「もうたくさんだ」と拒絶や怒りを表したり、「それで終わりだ」と終了を告げたりもします。
- that's it:
- 「そういうことだ」 肯定を示す
- 「もうたくさんだ」 拒絶を示す
- 「それで終わりだ」 終了を示す
「そういうことだ」
ひとつめは、誰かが言ったことに対し是認や同意を示し、「誰かが何かを正しくやっている」「それが答えだ」と伝える時の表現です。
that's about it のように、about を付けると「それはそれについてだ」 「それについてはそうだ」「そういうことだ」になります。
- That's it. You got the right answer.
(そうだ。正解だ) - Slowly…slowly. Yeah, that’s it.
(ゆっくり…ゆっくり。そう、その通り) - Power: that's it, I want power over my life.
(力。そう、私は自分の人生を支配する力が欲しい) - "You mean you won’t get more than $500 for the job?" "That’s about it."
(「つまり、この仕事で500ドル以上はもらえないってこと?」 「そうだよ」)
また、以前言ったことの確認を込めて、「そういうことだ」と言ったりもします。
- So that's it — the fuse had gone.
(つまり、そういうこと。ヒューズが切れていたんだ) - You don't love me any more, is that it?
(もう私を愛していない、そうなの?)
「もうたくさんだ」
これは、ある状況に腹を立てて、「それ以上はやめて欲しい」「もうたくさんだ」というニュアンス。I've had enough of that(もううんざりだ)の意味です。
that's it の it が、enough の意味で使われてます。
- That's it! I'm leaving! I've had enough!
(もうたくさん! 私は行きます! もういい!) - That's it! I can't listen to you two fighting anymore.
(もうたくさん! もう2人のケンカは聞いていられない) - Okay. That's it! I'm going to report you to human resources!
(わかった。もういい!人事部に報告する!) - OK, that's it. If you're not going to try, I'm not going to help you.
(わかった。もういい。あなたが努力しないなら、私はあなたを助けない)
「それで終わりだ」
この用法は「何かが終了した」ことを示します。過去形の that was it でも同じ。過去形の文と一緒に使われている時は、that was it ですね。
事実として「終了した」だけでなく、「終了してすっきりした」という満足、あるいは「これ以上は何もできない」「それだけだ」という諦めや失望を表したりもします。
- That’s it for today. We can go home now.
(今日は以上だ。もう帰っていい) - A week to go, and that's it!
(あと一週間、それで終わりだ!) - That’s it, then. There’s nothing more we can do.
(終わった。私たちにはもう何もできない) - We get a custody order, and that's it.
(監護命令が下され、それで終わり) - After the final bell rang, that was it — high school was over.
(最後のベルが鳴った後、それで終わった。高校生活は終わった) - I saw a pearl of wisdom in his advice, but that was it.
(彼の忠告に貴重な知恵を見出したが、それだけだった)
that's that
that's that(または、that was that)も 「これでおしまいだ」「それだけだ」という終了です。
それが最終的な結論であって、納得できなかったり不満はあっても、これ以上はその件について扱わない、といった含み。
もう済んだことなので、「状況や決定は変えられない」ことを強調します。
- I won't agree to it and that's that.
(私はそれには同意しない、それだけだ) - I refuse to go and that's that!
(私は行くことを拒否する、それだけだ) - There’s no money left, so that's that.
(お金が残っていないので、これで終わりだ) - As a medium of exchange it no longer works, and that's that.
(交換手段としてはもはや機能しない。それだけだ)
that's all
また、that's all も「以上だ」「それだけだ」と完了や終了を表します。
「これがすべて」、それ以上は何もないという「完了」を告げる表現です。all が付いているので、分かりやすいですね。
- That's all, everyone, thank you for listening.
(以上です。ご清聴ありがとうございました) - I had no desire to be a mother ― I had a child, that's all.
(母親になりたいとは思っていなかった。子供がいた、それだけだ)
that's about it
「終了」を表す場合、that's about it もOKです。「大体そんなところだ」「それくらいだ」と、他には何もないことを示します。that's all に近い感じ。
この about は「ほとんど」「大体」という副詞でしょう。
- There’s some cheese in the fridge and that’s about it.
(冷蔵庫にチーズがいくつかある、それだけだ) - “Anything else?” “No, that’s about it for now.”
(「他には?」「いや、今はこれくらいだ」) - He was a quiet chap, married with kids. That’s about it, really.
(彼は静かな男で、結婚していて子供がいた。本当にそれだけだ)
chap はイギリス口語で man の意味。
that does it の用法
that does it は「もうたくさんだ」と「完了する」の2パターンです。
- that does it:
- 「もうたくさんだ」 拒絶を示す
- 「完了する」 完了を示す
「もうたくさんだ」
何かが我慢の限界で、それ以上は受け入れられないことを示すのに使われます。that's it とほぼ変わりません。
- That does it! I will not tolerate that kind of behavior in this class.
(もうたくさんだ! このクラスではそのような振る舞いを許さない) - Right, that does it! I’m not going to listen to any more of this!
(分かった、もう十分だ! これ以上聞くつもりはない!) - That does it, I'm off. I'm not having you swear at me like that.
(もうたくさんだ。もう行く。そんな風に私に悪態をつかせない)
「完了する」
that does it は、that completes it のこと。
that's it は「完了した状態」。一方、that does it は「完了する行為」。最後の要件が満たされ、目的が達成されることを意味します。
もともと that does it の it は「the trick」(トリック、手口)を表したそう。do the trick は俗語で「強盗やその他の行いを成功させる」ことです。
- Well, that's the last one! That does it!
(さて、それが最後だ! それで完了!) - That does it; we're ready to send in the application now.
(それで完了する。もう申請書を送信する準備はできている) - When Jane got the last piece put into the puzzle, she said, "That does it!"
(ジェーンはパズルの最後のピースをはめ込んで、「これで完成よ!」と言った)
that did it と that's done it
that does it の do は過去形や現在完了形になったりもします。
that did it はアメリカ英語。主に、「何か良くないことを引き起こした」時に使われます。たいてい怒りを示し、「やってくれた」「我慢の限界だ」の意味。
イギリス英語だと、その意味では that's done it と現在完了形になります。
- that did it / that's done it:
- 「やらかした」「やってくれた」 怒りを示す
- 「もうたくさんだ」 拒絶を示す
- “That did it!” said Anna as she looked at the damage. “Now I really will have to get a new car.”
(「やってくれた」アンナは被害を見ながら言った。「今度本当に新しい車を買わなきゃいけない」) - OK, that's done it, I'm calling the police ― it's 2 AM and that party is still blasting music!
(よし、もうたくさんだ。警察を呼ぶ。午前2時なのにパーティーではまだ音楽が鳴り響いている)
that'll do の用法
that'll do(=that will do)はというと、「もう十分だ」です。
といっても、「もうたくさん」という怒りではなく、「それで十分」「それでいい」のように、もう十分満足なので「それ以上は要らない」ことを示します。
もっとも、「もうやめて欲しい」という気持ちから来る「もう十分だ」もあり。
- that'll do:
- 「もう十分だ」 「それ以上は必要ない」と示す
- 「もうやめろ」 「もうやめて欲しい」と示す
「もう十分だ」
未来形だと、柔らかめの印象になります。that will do it と it を付けても、大体同じ。
- "Would you like any more turkey?" "No, that'll do, thank you."
(「もっと七面鳥はいかがですか?」「いや、これで十分だ、ありがとう」) - That will do, dear, now dry your eyes and stop crying, please.
(もう十分だ、さあ、目を乾かして泣かないで) - There, that will do it. The engine should be as good as new, now!
(これでいい。もうエンジンは新品同様になるはずだ!) - "I filed the forms you left out for me. Is there anything else you need me to do today?" "Nope, that will do it."
(「あなたが残しておいた書類を提出しました。今日は他に何かしてほしいことはありますか」「いや、それで十分だ」)
以下は、『ベイブ』の有名な “That'll do.” のシーン。「よくやった、もう十分だ」という感じです。ほんわかしますね。
「もうやめろ」
「もう十分だ」「もうやめてほしい」といった気持ちを表します。子供に対して、「何かの行いをやめろ」と命令する時に使われることが多いです。
- That'll do, Timothy! Please just sit down and keep quiet.
(もうやめなさい、ティモシー! ただ座って静かにしていなさい) - That'll do, children ― you're getting far too noisy.
(もうやめなさい、子供たち。あまりに騒がしすぎる) - That'll do! I’ve heard enough of your complaints.
(もう十分だ! あなたの不満は十分聞いた)
まとめ
that's it、that does it、that'll do は細かく見ていくと、意味や用法が異なります。
ただ、どれを使ってもいいような場合もあり、迷ったらとりあえず that's it で考えるのが無難かもしれません。
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(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Collins Dictionaries, Cambridge Dictionary, LDOCE, U.S.Dictionary)