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ファジーな dull
fuzzy や dull という形容詞は、どう訳していいか悩む単語の代表格ではないでしょうか。
dull については、「鈍い」「さえない」「どんよりした」「面白くない」などなど、ものすごく抽象的。動詞もありますが、形容詞に絞ってみます。
英英辞典にも、"not clear or bright"(はっきりしていない、または明るくない)、 "not sharp"(鋭くない)、 "not active"(アクティブではない)のように載ってました。たいてい「〇〇ではない」という説明。
not 以外で、ビシッと定義するのは難しいようです。といって、「ダル」はまだ日本語になってないので、そのまま「ダルな」とは言えません。
「ダルい」という言葉は、dull が語源では? とも思ったけれど、「ダルい」は日本の古語の「たるし」から来たとのこと。
そういえば、「かったるい」や「たるい」という言い方もしますね(方言?)。
dull の由来
では、英語の dull はどこから来たのでしょう?
dull は、古英語の dol(頭の鈍い、愚かな)、または中期低地ドイツ語の dul(愚かな、無謀な)に由来すると考えられています。
「愚かな、理解が遅い、知覚が鈍い」や「先端や角が鈍い、鋭くない」といった意味が1200年頃からあったようです。
その後、「明るくない」「楽しくも活気もなく、面白くない」などの用法ができたそう。
dull の意味
いつものようにざっくりと、dull を「鈍い」「はっきりしない」「退屈な」の3つに分類してみます。
- dull:
- 「鈍い」
(先端・痛み・音などが)鋭くない。理解が遅い - 「はっきりしない」
(色・天候などが)ぼんやりした - 「退屈な」
(物事が)面白味がない
- 「鈍い」
「鈍い」
stupid(愚かな)の意味は少し古く、昨今では dull はあまり理解力や思考力に関しては使われなくなってきたよう。
また、ナイフなど刃物が「なまくらな」の意味の時、イギリス英語では dull とは言わず、blunt(鋭くない、切れ味が悪い)のほうを使います。
- The blade was too dull to cut through the meat.
(刃が鈍すぎて肉を切ることができなかった) - To remove the wax, let it harden, then scrape it off with a dull knife.
(ワックスを取り除くにはワックスが固まってから鋭くないナイフで削り取る) - She felt a dull ache at the back of her head.
(彼女は頭の後ろに鈍い痛みを感じた) - The pain was dull but persistent.
(痛みは鈍いが持続的だった) - I heard a dull thud from the kitchen.
(キッチンから鈍い音が聞こえた)
thud [θʌ́d] は「ドスン、ズシン、ゴツン」などの「鈍い音」です。
「はっきりしない」
光や色が「ぼんやりして」「明るくない」、天候などが「どんよりして雲が多い」といった状態を表します。
- The town seemed deserted in the dull afternoon light.
(午後の薄暗い光の中で町は人影もまばらに見えた) - The beach didn't look so pretty under dull skies.
(どんよりとした空の下ビーチはあまりきれいに見えなかった) - The bird is a dull yellow colour.
(その鳥はくすんだ黄色だ) - We could just see a dull glow given off by the fire's last embers.
(炎の最後の残り火が放つ鈍い光だけが見えた) - Her eyes looked dull, as if she was half asleep.
(彼女の目はまるで半ば眠っているかのようにどんよりして見えた)
「退屈な」
何かに対して、「退屈で面白くない」「興味がわかない」といったネガティブな気持ちを示す言い方です。物事が「パッとしない」こと。boring(退屈な)が類義語。
- Life in a small town could be deadly dull.
(小さな町での生活は死ぬほど退屈かもしれない) - There's never a dull moment when John's around.
(ジョンがそばにいると退屈な瞬間は決してない) - The first half of the game was pretty dull.
(試合の前半はかなり退屈だった) - He is the author of several dull novels.
(彼は面白味のない小説を何冊か書いている) - We've had a dull start to the season.
(今シーズンは冴えないスタートを切った)
どの意味で使われているかは、普通は大体判断できるものの、短い1文だけではあいまいな場合もあったりします。
以下は「天候がはっきりしない」でも「退屈な」でも良さそうな…? Cambridgeからの抜粋ですが、そちらでは天候の意味の例文として挙がってました。
- The first day of our holiday was dull.
「休暇の初日は雲が多かった」
あるいは、
「休暇の初日は退屈だった」
ダルな fuzzy
昔、「ファジー」fuzzy という言葉が一世を風靡する勢いで流行りました。とりわけ電化製品について、よく使われたものです。
dull と似ていて、「あいまいな、はっきりしない」という意味があるのに、fuzzy のほうは「変化する状況に適応する」のような、ポジティブなニュアンス。
dull はどちらかと言うと、ネガティブなイメージだけど…。
0と1だけではなく、もっと柔軟に対応する『ファジィ論理(fuzzy logic)』に乗っかったものらしいです。fuzzy は今また、AIの普及で再注目されてますね。
当時は、洗濯機やらなんやらの機能のうたい文句にやたらと「ファジー」が付いてて、毎日のようにその言葉を見聞きしてました。
電化製品に留まらず、『ビックリマンチョコ』で「Fuzzy M.R(ファジーマリアロココ)」というシール(キャラ)が出たのも、「ファジー」という言葉がいかに流行ったかを示してます。
もともと fuzz(綿毛)から来ていて、fuzzy は「短くて柔らかい髪や毛皮で覆われた」様子を言います。
これが「羽毛で覆われた」 「ぼやけた」 「不正確な」と広がっていったとか。
- fuzzy:
- 「綿毛状の」「髪が縮れ毛の」
- 「不明瞭な」「はっきりしない」
「綿毛状の」
「綿毛状の」の他に、「髪が縮れ毛の」「短い巻き毛の」の意味もあります。
- I peel peaches because I don't like their fuzzy skins.
(綿毛のある皮が嫌いなので桃は皮をむく) - I stroked the kitten's fuzzy back.
(子猫の柔らかな毛の背中をなでた) - Oh no, it's raining ― my hair will get all fuzzy.
(ああ、雨が降っている。髪がぼさぼさになってしまう) - He had fuzzy black hair and bright black eyes.
(彼は縮れた黒い髪と明るい黒い目をしていた)
fuzzy wuzzy は「縮れ毛の黒人原住民」に対する蔑称として辞書に載ってます。19世紀に使われましたが、当時は蔑称ではなかったそう。
fuzzy wuzzy の意味は2つあり、ひとつは「愛らしい(もの)」。テディベアなどの「柔らかくてふわふわした」イメージで、黒人の髪もそうですね。
もうひとつは、fuzzy と同じく「不明瞭な」。
「不明瞭な」
fuzzy は、画像、音、思考などが「明瞭でない」「はっきりしない」ことを示します。
- Is the picture always fuzzy on your TV?
(テレビの画像がいつもぼやけてない?) - A couple of fuzzy pictures have been published.
(ぼやけた写真が数枚公開された) - You can pick up a lot of stations on the car radio but the sound is usually sort of fuzzy.
(車のラジオでは多くの放送局を受信できるが、通常音声がやや不明瞭だ) - The basic facts are starting to emerge though the details are still fuzzy.
(基本的な事実は明らかになり始めているが、詳細はまだはっきりしない) - TMy head's a little fuzzy this morning after all that wine last night.
(昨晩のワインのせいで今朝は頭が少しぼんやりしている)
まとめ
fuzzy も、一般的には「はっきりしない」の意味ですね。
fuzzy logic(ファジィ論理) などの語は別として、「柔軟性がある」といった良い意味で幅広く使うのは、日本語特有の表現なのかも。
AIと英会話レッスン
「gymglish」はAIとのレッスンで、聞き取れない時はAIが繰り返したり、別の言葉に言い換えたりしてくれます。もう、生きてる人間のレベル。
マンガを読むような感覚で、イラストが描かれた画面を見ながらのレッスンです。自由会話もできるし、レベル調整も、すべてAIがやってくれます。
対人でないというのが、本当に気楽。好きな時に、好きなようにできるのが何より有難い。
【gymglish】
レッスン時間は1日15分。
(引用・参照元:Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, Collins Dictionaries, LDOCE, Online Etymology Dictionary)