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get over とは?
get over は本当に簡単なフレーズです。というのも、get は「~になる、至る」、over は「越えて」なので、基本の意味は「越えていく」。
ひとつには、悪いことや嫌なこと、辛いことなど、主にネガティブな出来事を「越えていく」。もうひとつは、文字通り物理的に「越えていく」。
そこから枝分かれしていくだけで、ざっくり分けると、この2つです。
ネガティブな出来事を乗り越える
あまりにもざっくり過ぎるので、もう少し細かく分けてみましょう。
get over+物事
まず、病気や困難を「乗り越える」場合は、「~を克服する」「~に打ち勝つ」「回復する」。または、嫌なことを「乗り越えて受け入れる」場合です。
get over の後には「物事」が来ますね。漠然と「不快な状況」を指して it と言ったりもします。
- She can't get over her shyness.
(彼女は内気さを克服できない) - She's just getting over the flu.
(彼女はインフルエンザから回復しつつある) - You need to get over the fact that I'm moving to Indonesia next month.
(私が来月インドネシアに引っ越すという事実をあなたは受け入れる必要がある) - She left you over three years ago, so you really need to get over it already!
(彼女は3年以上前にあなたを捨てたのだから、もう乗り越えるべきだ!) - I'm going to marry him. Get over it!
(私は彼と結婚するつもりよ。受け入れて!)
get over+人
「人」を乗り越えていくというのは、どういう意味でしょう。
over の後に「人」が来ると、「その人との関係が終わった後などに、ショックから立ち直る」といったニュアンスです。
その人への思いを忘れて、乗り越えていくこと。
- It took her months to get over Michael when he ended the relationship.
(マイケルとの関係が終わった時、彼女は彼を忘れるのに何ヶ月もかかった) - It's been nearly a year since Janet dumped me, but I still haven't gotten over her.
(ジャネットに振られてからほぼ1年が経つが、まだ彼女を忘れられない) - It's just a crush. You'll get over Tommy soon enough.
(ただの片思いよ。すぐにトミーのことは忘れられる)
- get over+物事:
- 「(病気や困難)を克服する」「回復する」
- 「(不快な事を)を受け入れる」
- get over+人:
- 「(思いを乗り越えて)を忘れる」
get over oneself
"Get over youself." はイディオムで、直訳すると「自分を乗り越えろ」。
自分のことを深刻に考えすぎたり、自意識過剰だったり、自己中心的になっている時にたしなめる言葉です。
そういった自分自身を忘れて手放せ、といった感じ。
「うぬぼれるな」「調子に乗るな」のように、相手の傲慢な態度を諫めるのに使われる…と、そう説明されてることが多いのですが、ちょっとよく分からないケースもあります。
- Get over yourself! Nobody cares if you've made a mistake.
(自意識過剰だ! あなたが間違いを犯しても誰も気にしない) - Just get over yourself and stop moaning!
(ただの傲慢だ。不平を言うのをやめろ!) - He needs to grow up a bit and get over himself.
(彼はもう少し成長してうぬぼれをやめる必要がある)
最初の例文などは、「うぬぼれるな」というより、「誰も気にしないから、自分自身も気にするな」という励まし(?)の意図も感じられます。
Longmanでは、get over yourself は次のように定義されてました。
to stop being so sensitive or proud
(繊細だったり、高慢だったりするのをやめること)
sensitive は「繊細な」「傷つきやすい」なので、必ずしも偉そうな態度の相手に向けて諫めるだけではなさそうです。
以下の例文は、WikiHowより。これらは「克服する」に近いでしょう。
He fell down during dance class last week, and now he says he's never coming to class again because he's too embarrassed. I feel for him, but I also think he needs to get over himself.
「彼は先週ダンスのクラスで転び、恥ずかしくて二度とクラスに来ないと言う。同情はするが、彼は自分の気持ちを改める必要があるとも思う」
You're missing your brother's wedding because of a fight you had five years ago? You need to get over yourself.
「5年前に喧嘩したせいで弟の結婚式に出席できないって? あなたは考えを改める必要がある」
空間を乗り越える
こちらは簡単。空間的に「~を越えていく」です。「場所や、そこにある何かを越えていく」こと。イディオムというより、get に over が付いた用法です。
- get over+空間:
- 「(場所やそこにある物)を越えていく」
- I managed to get over the sand dunes and moved on toward the shoreline.
(なんとか砂丘を乗り越えて海岸線に向かって進んだ) - I couldn't get over the huge rock in the path, so I went around it.
(道にある巨大な岩を乗り越えることができなかったので、その周りを回った)
get~over とは?
一方、get~over と、目的語が get と over の間に挟まれる場合があります。
基本として、get A over は「Aに越えさせる」のように「させる」の意味です。目的語になるAは、「人」や「物事」どちらもあり。
get~over の後に to や with が続いて、意味が変わってきます。
get~over to
get A over to~ は「Aを~のほうにやる」あるいは「Aを~に伝える」。
物理的に何かを「別の場所」へ移動させたり、アイデアや情報などを「人」に伝えることを示します。
ここでは、「何を」越えるのか、越えるべき対象については言及されません。「何に」越えさせるのか、「どこへ向けて」越えさせるのか、それだけです。
- It's important that we get this message over to young people.
(このメッセージを若者に伝えることが重要だ) - He didn't really get his meaning over to the audience.
(彼は自分の意図を聴衆にあまり伝えなかった) - Go on, get yourself over to May's and meet her company.
(さあ、メイのところに行って彼女の仲間に会ってください)
get~over with
こちらは、「(何か不快なことや困難なこと)を終わらせる」。
get over は「克服して乗り越える」なので、それに近いけれど、get~over with だと「終わらせる」「片づける」「済ませる」のニュアンスです。
- I know you have to draw blood, so go ahead, get it over with!
(血を抜かないといけないのは分かってるから、さっさと終わらせて!) - I can't wait to get the interview over with.
(インタビューが終わるのが待ちきれない) - I'll be glad to get these exams over with.
(これらの試験が終わって嬉しい)
この over は「終わって」という副詞。ただ with については、後ろに語句が続くわけではなく、添え物っぽい感じもします。
なぜ with が付くのか、調べてみましたが、分かりませんでした。
over and done with とは?
over and done with(アメリカ英語では、done and over with)というフレーズがあり、これも「何か不快なことが終わって」です。
get~over and done with と言ってもOK。モヤモヤするものの、そういうイディオムだと思ったほうがいいのかもしれません。
- I’m so glad the mid-term exams are over and done with.
(中間試験が終わって本当によかった) - We just want the whole thing over and done with so we can get on with our lives.
(ただすべてを終わらせて、自分たちの生活を続けたいだけだ) - I just want to get the surgery done and over with, to be honest.
(正直に言うと、ただ手術を終わらせたいだけだ)
まとめ
get over はわりと奥が深いですね。類義語の overcome(克服する)も取り上げたかったけど、蛇足になりそうだったので、今回は諦めました。
ゆったり洋書を読む
ブラッドベリの『何かが道をやってくる』は、ホラーっぽいタイトルですが、ホラーではなくファンタジーです。ただし、タイトルに wicked(邪悪な)とあるように、ややダーク。
ハロウィンの夜に二人の少年が体験する不思議。郷愁にあふれていて、なんというか、読み終えた後はふわっとした感じがします。
(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, WikiHow, LDOCE)