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deal の意味
名詞の deal の意味は、基本的には3つです。
ひとつは、特にビジネスでの「取引」「契約」、2つめはカードゲームで「カードを配ること、その順番」、もうひとつは何かや誰かに対する「扱い」。
古い昔は「一部」「部分」を表し、1200年頃に「(何かの)分け前」「割り当てられた部分」の意味になったそう。「取引」の意味になったのは、1837年とわりと遅め。
- deal:
- 「取引」「契約」
- 「カードを配ること」
- 「扱い」
ルーズベルト大統領の The New Deal(ニューディール政策)という名称は、マーク・トウェインの小説『アーサー王宮廷のヤンキー』(1889年)で主人公が実施した政策にちなんでいるとか。
new deal とは「トランプゲームなどで親がカードを配り直すこと」です。
ただ、イディオムの deal は、これら3つに当てはまらない用法が結構出てきます。ここでは、そんな特殊フレーズを4つ取り上げてみます。
what’s the deal?
まずはひとつめ。「what’s the deal?」は「何が起こっているのか」「どうなのか」「どうなっているのか」と状況を尋ねるアメリカ英語の口語表現です。
「~について」と言いたい時は、with を付ければOK。
- what’s the deal?:
- 「どうなっているのか」
- What’s the deal? Do you want to go out or not?
(どうなの? 出かけたいのか、出かけたくないのか?) - So what’s the deal? Why is he so mad?
(それでどうなってるの? なぜ彼はそんなに怒っているの?) - What's the deal with these new fees? Why do we have to pay them?
(これらの新料金はどういうこと? なぜ支払わないといけないの?)
deal は、上の3つの意味のどれにも当てはまりません。どういうことでしょう?
Green’s Dictionary of Slang によると、deal は1900年頃から the situation(状況)、the state of affairs(状態、事象)の意味で使われたようです。
「状況・問題」の意味
- If any of you cats are hung up or put down by some love problem, clue me in on the deal.
(もしあなた方のだれかが、恋愛問題で困っていたら、状況について教えてください) - This is the biggest deal pulled off this year and we nabbed the fellow two days after he turned the trick.
(これは今年一番大きな事象で、犯行の2日後に男を逮捕した)
deal にはかつて issue(問題)、problem(問題)といった意味もあり、そういったところから来たのではないかと推測されています。
もっとも、今は「What’s the deal?」以外に、「状況・問題」の意味で deal を使うことは少ないでしょう。
big deal
big deal というフレーズも、ドラマなどでよく耳にするのではないでしょうか。
もともとは「多額の大きな取引」で、金融投機の用語でしたが、口語で「たいしたもの」「大事なもの」を意味するようにもなりました。
「たいしたものだ」と言いつつ、本心は「たいしたことない」という気持ちで、皮肉的に "Big deal!" と言ったりもします。
皮肉的な使い方をされるようになったのは、映画『ライ麦畑でつかまえて』(1951年)以降とのこと。
- big deal:
- (皮肉として)「たいしたことではない」
- 「重要なことだ」
「たいしたことではない」
- "I ran five miles this morning." "Big deal! I ran ten."
(「今朝は5マイル走ったよ」「たいしたことない! 私は10マイル走った」) - "This one costs more." "It's 50 pence, big deal!"
(「こっちの方が高い」「50ペンスだよ、たいしたことない!」) - So he earns more than me. Big deal!
(つまり彼の収入は私より多いってこと。たいしたことじゃない!)
「重要なことだ」
a big deal と単数形で使われるため、主語が複数名詞でも a が付きます。
- This discovery is a big deal for archaeologists.
(この発見は考古学者にとって重要なことだ) - Going to college is still a big deal.
(大学に行くのは今でも重要なことだ) - People don't tip much in Europe, but in America tips are a big deal.
(ヨーロッパではチップをあまり払わないが、アメリカではチップは重要だ)
no big deal とは?
否定文で使われることも多く、no big deal や not a big deal は「重要ではない」「たいしたことではない」。「Big deal!」 を文字通りストレートに言う表現です。
- We'll have to pay a little more ― it's no big deal.
(もう少しお金を払わなければならないが、たいしたことじゃない) - Living together before marriage is no big deal here these days.
(最近では結婚前に同棲することはたいしたことではない) - Young people are more accepting of different sexual orientations. It's just not a big deal to them.
(若い人たちは異なる性的指向をより受け入れている。彼らにとって、それはたいした問題ではない)
what's the big deal とは?
最初に挙げた「what’s the deal?」と同じ形ですね。big deal は「重要なこと」。
普通に考えれば、「何が問題なのか?」…なのですが、純粋に疑問というより、「何が問題だというのか(問題ではない)」という反語的な含みがあります。
- "Wait, you can't export the files in that format!" "Why not? What's the big deal?"
(「待ってください、その形式ではファイルをエクスポートできません!」「なぜできない? たいしたことないだろう?」) - I stayed out a little later than I said I would — what's the big deal?"
(言ってた時間より少し遅くまで外出していたけど、そんなに重要なことなの?)
a good deal
good/great deal は、「大量」と「好ましい状況」の2つの意味があります。
たいてい a を付けて、a good/great deal (of) の形になり、数えられない名詞が後に続きます。people のような複数名詞は不可。
例: a good deal of people
of が後ろに続く時の deal は名詞で「かなりの~」。of のない a good/great deal は「かなり」という副詞です。
由来ははっきりしませんでした。「大量」「かなりの量」は「多額の取引」といった概念から来ているのかも?
- a good deal:
- 「かなりの量」
- 「良い取引」
「かなりの量」
- She spends a good deal of her time in China.
(彼女はかなりの時間を中国で過ごしている) - A good deal of what she says is just plain common sense.
(彼女の言うことの多くは単なる常識だ) - We don't see them a great deal these days.
(最近は彼らをあまり見かけない) - He was a good deal older than her.
(彼は彼女よりかなり年上だった) - They still need a great deal more money to finish the project.
(プロジェクトを完了するにはまだかなりの資金が必要だ)
a lot とほぼ同じ意味で、使い方も似てます。ただし、a good/great deal と違い、a lot of の後には複数名詞も、数えられない名詞もOKです。
例: a lot of people
- She has a lot more contact with clients these days.
(彼女は最近顧客との接触が増えている)
「良い取引」
この deal は「取引」の意味で、「良い取引」「成功した取引」。
そこから転じて、「好ましい状況」だったり、買い物について、「お買い得」「良い買い物」のように使われたりします。
- "I'll plan on coming around this Friday evening." "Good deal."
(「今週の金曜日の夕方に来る予定だ」「いいよ」) - Good deal. Thank you for getting that appointment rescheduled.
(いいね。予約を変更してくれてありがとう) - They gave me a really good deal on my camera.
(カメラを本当に安く買えた) - I'm sure it sounded like a good deal at the time, but you bought a total junker!
(その時はお買い得のように思えただろうが、きみは完全にポンコツな車を買った!)
- good deal: 「良い取引」の意味で
- 「好ましい状況」
- 「お買い得」
cut a deal
deal は「契約・取引」なので、cut a deal は「取引を打ち切る」だと誤解しやすいものの、実はそうでなく…。make a deal と同じく「契約を結ぶ」の意味になります。
- cut a deal:
- 「契約を結ぶ」
- I'm confident that we can cut a deal with this buyer.
(このバイヤーと取引できると確信している) - They were trying to cut a deal in which they would give up their claim to the oil in return for a cash payment.
(彼らは、現金の支払いと引き換えに石油の所有権を放棄するという取引をしようとしていた)
Maybe we can cut a deal.
「たぶん、俺たちは取引きできる」Batman(1989)
cut a deal の由来
それにしても、なぜ cut なのでしょう?
deal は、両者が利益を得るような合意を相手と結ぶことなので、名詞の cut の「分け前・取り分」という意味と関連しています。
また、古代の契約を結ぶ儀式から来ているのではないか、とも推測されてます。けれど、はっきりしたところは明らかになっていません。
まとめ
今回触れなかった他の deal の意味については、また機会がありましたら…。
英語にもっと馴染むために
国内で発行される英字新聞は、英語教材と言っても過言ではありません。
従来の「読む」はもちろん、「書く」練習もあり、WEBサイトで英語音声を「聴く」もセットになってます。
The Japan Times Alpha(ジャパンタイムズアルファ)
日本語の対訳や注釈付きなので、辞書なしで読めます。初心者にも優しい。
英文ライティングなど学習要素が強く、新聞と言うより、初級者から上級者まで対象にした英語教材といった感じ。
発行は週刊で、1週間分の学習としてはちょうどよい分量です。
週刊英和新聞Asahi Weekly(朝日ウイークリー)
こちらも、和訳や日本語注釈付き。英作文や英文法など学習コラムが充実してます。
読みやすさを重視して、英語学習者を飽きさせないための工夫が上手い。ニュース記事の濃さは、さすがメジャーな新聞出版社。
少しでも理解の助けになれたら幸いです。お読みいただき、ありがとうございました。
(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, Collins dictionary, English Language & Usage Stack Exchange, LDOCE, Wikipedia, Green’s Dictionary of Slang, Online Etymology Dictionary)