当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。
meta の由来
meta って何?
今はいろいろなところで「メタ」という言葉を聞きますが、そもそも「メタ」って何でしょう?
meta は「創作物についてそれ自体に言及している」という形容詞です。同義語としては、self-referential(自己に言及した)。
でもそう言われても、あまりよく分からずストンと落ちません。
言葉で説明するのが難しいけれど、たとえば、創作の登場人物が「自分たちは『創作』だ」と示すようなものでしょう。
もとはギリシャ語から来ていて、(1)「後ろに」「間に」「共に」 (2)「変化した」 (3)「より高い」「超えた」といった意味。今の「メタ」は、主に(2)と(3)ですね。
(3)の意味は、アリストテレスの著書「形而上学」のタイトルの誤読によるものだそう。
アリストテレスは physics(物理学)が第一、ontology(存在論)を第二と考えていました。なので、本来の metaphysics(形而上学)は「物理学の後」。
それが「物理的なものを超越した科学」「より高次のもの」のように誤って解釈され、変化したようです。
meta が「自己に言及する」の意味で一般化したのは、1980年代だとか。
- It's a meta joke. It's sort of a joke about jokes.
(メタジョークだ。冗談についての冗談のようなものだ) - I am standing at my desk typing this about the media right now. It feels very meta.
(私は今机の前に立ってメディアについてこれを書いている。とてもメタな感じだ) - That was the second funniest cross-series meta reference ever.
(あれは今までで2番目に面白いクロスシリーズのメタ的言及だった) - In a meta twist, the bags were printed with photographs of other bags.
(メタ的な工夫として、バッグには他のバッグの写真が印刷されていた)
go meta の用法
go meta は「メタ的になる」。スラングで辞書には載ってません。
例文は、The Guardian や The New York Times からの抜粋なので、go meta という使い方も確かにあるのでしょう。
- But when other mediums go meta, it tends to be to more acclaim and less disdain.
(しかし他のメディアがメタ化すると、より称賛されて蔑視されることが少なくなる傾向がある) - Indeed: it's a meta-novel, and it goes meta from the very first page.
(確かに、これはメタ小説であり最初のページからメタになっている) - "You go meta," he says, meaning "beyond" the disputes and to the underlying facts.
(「メタ的になってください」と彼は言う。論争を超えて根底にある事実に行くという意味だ) - Macau's postage stamps have just gone meta.
(マカオの郵便切手がメタ化した)
「変化」の meta-
meta- が付く語は多いですね。
metaphysics(形而上学)の意味が「物理的なものを超越した科学」と誤解されたため、学術用語として metalanguage(メタ言語)、metahistory(メタヒストリー)など、本来の意味とは異なる方向にどんどん広がっていきました。
metamorphosis(変容)
ラテン語ギリシャ語由来で、meta- + morphe(形)から。
metamorphosis [mètəmɔ́rfəsis](変質、変形、変容)の meta- は「変化した」の意味です。複数形は metamorphoses。
アニメなどで「メタモルフォーゼ」という言葉を耳にしたことありませんか? カフカの『変身』もドイツの小説ですが、英語タイトルは The Metamorphosis です。
よく undergo(経験する)という動詞と一緒に使われます。
- Under the new editor, the magazine has undergone a metamorphosis.
(新しい編集者のもとで雑誌は変貌を遂げた) - She underwent a metamorphosis from a steady player into a ruthless aggressor on the court.
(彼女はコート上で安定したプレーヤーから冷酷な攻撃者へと変貌した) - It took me some time to undergo the metamorphosis from teacher to lecturer.
(教師から講師への転身にはある程度の時間がかかった) - Beetles undergo a complete metamorphosis in their life cycle.
(カブトムシはライフサイクルの中で完全な変態をする)
metabolism(代謝)
metabolism [mətǽbəlìzm] は、ギリシャ語の metabole(変化)から来たもの。
代謝とは、食物をエネルギーに「変換する」ことです。形容詞の metabolic [mètəbɑ́lik] は「代謝の」で、アクセントの位置が変わります。
「メタボ」として知られる metabolic syndrome(メタボリック・シンドローム)は、「一連の代謝異常の症例」のこと。
- Exercise is supposed to speed up your metabolism.
(運動をすると代謝が促進すると言われる) - The body's metabolism is slowed down by extreme cold.
(極度の寒さにより体の代謝が遅くなる) - The vast majority of alcohol metabolism occurs in the liver.
(アルコール代謝の大部分は肝臓で起こる)
「超えた」の meta-
metafiction(メタフィクション)
fiction は「事実に基づいていない創作」「架空の話」で、non-fiction は「事実に基づいた話」。
metafiction はというと、「『これはフィクションであり現実ではない』と故意に思い出させる演劇や小説などのスタイル」のこと。
この meta- は「超えた」の意味で、「フィクションの枠を超えて自己について言及する話」です。
- For example, metafiction and pastiche are often used for irony.
(たとえばメタフィクションや模倣は皮肉を表現するためによく使われる) - Metafiction simply cannot enchant in the way that a straightforward classical narrative is able to do.
(メタフィクションは明快な古典的な物語のようには人を魅了することができない)
かつてベストセラーになった『ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙』などは、メタフィクションでしょう。
ネタバレになってしまうかもですが、これは登場人物が「自分たちは物語の登場人物だ」と認識してる話です。
登場人物にとって、作者はまさに神に等しい存在。そんな物語世界からの脱出を試みるというのが骨組みになってます。
果たして、物語から抜け出した登場人物はどうなるのか?
面白いんだけど、途中がものすごく長い話で、私は何回か挫折しつつ続けたので、気長に読むのがよさそうです。
metaverse(メタバース)
metaverse の verse は universe(宇宙)。「コンピュータによって生成された環境で、ユーザー同士が対話できる仮想現実空間」を示します。
仮想の手法を使って自分を表現する「現実を超越した自己言及的な空間」です。
この語は、ニール・スティーブンソンによる1992年の小説 Snow Crash(スノウ・クラッシュ)で考案されて広まりました。
- The metaverse is online, but it's also three-dimensional and changeable.
(メタバースはオンラインだが、3次元でもあり変更可能だ) - Developers are working hard to build the next big gaming metaverse.
(開発者たちは次世代の大規模なゲームメタバースの構築に懸命に取り組んでいる)
まとめ
AIと会話する英語学習アプリは続々出てることだし、メタバースを使った仮想空間での英会話レッスンもそのうち出てくるかもしれませんね。
個人的にはAIやメタバースも面白いけれど、アナログも好きです。
英語にもっと馴染むために
国内で発行される英字新聞は、英語教材と言っても過言ではありません。
従来の「読む」はもちろん、「書く」練習もあり、WEBサイトで英語音声を「聴く」もセットになってます。
The Japan Times Alpha(ジャパンタイムズアルファ)
日本語の対訳や注釈付きなので、辞書なしで読めます。初心者にも優しい。
英文ライティングなど学習要素が強く、新聞と言うより、初級者から上級者まで対象にした英語教材といった感じ。
発行は週刊で、1週間分の学習としてはちょうどよい分量です。
週刊英和新聞Asahi Weekly(朝日ウイークリー)
こちらも、和訳や日本語注釈付き。英作文や英文法など学習コラムが充実してます。
読みやすさを重視して、英語学習者を飽きさせないための工夫が上手い。ニュース記事の濃さは、さすがメジャーな新聞出版社。
(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, Cambridge Dictionary, Ludwig Guru, Online Etymology Dictionary, Wordorigins.org, Collins Dictionaries, LDOCE, Merriam-Webster)