「off the bat」 の意味 bat の語源と英語イディオムを探る

サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

batのイディオム

 

バットとコウモリ

ノーマルのエイ
「バット」って「コウモリ」のこと?
横目のソウ
いや。この場合は野球の「バット」
怒りのエイ
でも「コウモリ」も「バット」だよね

野球の「バット」と「コウモリ」はまったく違うけれど、どちらも英語は bat です。

ただ語源が異なり、野球のバットは、後期古英語の batt(棍棒、杖)や古フランス語の「打つ」を意味する battre から来ているそう。

 

bat(コウモリ)の起源

一方、コウモリのほうは、古い英語名が flittermouse。「羽ばたく」ことに関連していて、ゲルマン語のコウモリ名の英語バージョンだったようです。

これが、おそらく古スウェーデン語の natbakka (夜のコウモリ) から bakka になり、ラテン語の blatta (蛾、夜行性の昆虫) の影響を受けて「k」から「t」に変化したのではないかとも考えられています。

bat という単語が出てきたのは、1570 年代頃。語の成り立ちが複雑です。

 

off the bat の意味

「すぐに」

(right) off the bat はわりと使うことが多いアメリカ口語で、意味は「すぐに」「遅延なく」immediately(すぐに)と同じです。

at the very beginning(まさに最初に)のニュアンスの場合もあり。

野球に由来するイディオムで、打者がボールを打つと、ボールはまっすぐ飛び、打者はすぐさま一塁に走ります。

打者のこの素早い動きが「遅れることなく、すぐに何かをする」の意味になったとか。

  • We both liked each other right off the bat.
    (私たちはすぐにお互いを気に入った)
  • right off the bat, I could tell that the plan had no chance of success.
    (すぐにこの計画が成功する見込みがないことがわかった)
  • Right off the bat I had a problem that meant I had to stop work.
    (まさに最初に仕事を中断せざるを得ない問題が発生した)
  • When he was learning to ride a bicycle, he fell on his head right off the bat.
    (自転車に乗るのを学んでいた時、最初に彼は頭から転んだ)

 

「バットから離れた」

もう一つは、そのまま直訳で「バットから離れた」、すなわち「ボールがバットに当たって飛んで」の意味。野球などバットを使ったスポーツに限定した使われ方です。

「すぐに」と訳しても意味は通じるけれど、多少ニュアンスが変わりますね。

  • A good defensive player needs to be able to read the ball off the bat.
    (優れた守備選手はバットが当たってボールが飛ぶ方向を読む必要がある)
  • With the way the ball jumped off the bat, the pitcher is lucky he didn't get beaned in the head.
    (ボールがバットに当たって飛んだが、投手は頭に当たらなくて運がよかった)
  • off the bat:
    1. 「すぐに」
    2. 「(ボールが)バットから離れた」

 

off one's own bat の意味

ノーマルのソウ
所有格が付くと、直訳は「自分のバットから」
困りのエイ
「コウモリ」じゃないんだ
横目のソウ
こだわってるな

off one's own bat はイギリス口語で、「自分で」「自発的に」。誰かに言われたり頼まれたりするのでなく、自分から何かをすることを示します。

  • I didn't ask her to buy them a present ― she did it off her own bat.
    (私がプレゼントを買うように頼んだのではなく、彼女は自分からそれをした)
  • Whatever she did, she did off her own bat.
    (彼女が何をしたにせよ、自分からした)
  • If you want to make more money, you'll have to take on new clients off your own bat.
    (もっとお金を稼ぎたいなら、自分から顧客を受けなければならない)
  • Nobody had even tried to persuade Tim to give up smoking; he did it off his own bat.
    (誰もティムに喫煙をやめるよう説得しようとしなかった。彼は自発的にそれをした)
  • off one's own bat:
    1. 「自分で」「自発的に」

 

off one's own bat の由来

off one's own batoff the bat とまったく異なるイディオムです。one's own が付いただけなのに、なぜでしょう?

実は、バットはバットでも、こちらはクリケットのバットです。

クリケットのバット

クリケットのルールは独特で、野球と違い、「バッター(batter)」は、相手チームの投手(bowler)のボールを打つ「ストライカー(打者)」と、ランナーになる「ノンストライカー(走者)」の2人です。

パートナーのバッターがボールを打ったり、相手チームの野手(fielder)が捕球にミスしたりしても点が入ります。

それでも、自分のバットでボールを打ち、得点するのが最大の栄誉でしょう。そこから、この表現になったようです。

 

go to bat for の意味

横目のソウ
bat のイディオムは他にもあるが…
怒りのエイ
「コウモリ」じゃないって言いたいんだろ

go to bat for~ はアメリカ口語です。この bat は動詞で「バットでボールを打つ」

「~に代わって打席に立つ」という野球用語ですが、チームを助けるという考えが、一般的な意味で「~をサポートする」という用法になりました。

  • go to bat for:
    1. 「~をサポートする」
  • Senators will go to bat for companies that pay lots of taxes.
    (上院議員は多額の税金を払う企業をサポートする)
  • She really went to bat for me.
    (彼女は本当に私のために尽力してくれた)
  • My manager went to bat for me when the company was looking to lay off employees.
    (会社が従業員の解雇を検討していた時、上司は私を擁護してくれた)
  • I'll go to bat for you with the headmaster
    (あなたを校長に対して擁護する)

 

bat a thousand の意味

ノーマルのエイ
「バットで打つ」だから、「1000本ノック」ってこと?
目閉じのソウ
野球用語なのは合ってる

もとは野球で、打席に立つたびにヒットを打ち、打率1.000になることを示します。やはりというか、アメリカ口語。

打率10割は、とんでもなく高い打率です。完璧な記録を達成していることを言い、「完璧に行う」「絶好調だ」「とても上手くいっている」

野球以外にも使われるようになったのは1920年代です。

  • bat a thousand:
    1. 「完璧に行う」
  • We're batting a thousand, here, since we got both boys to school with time to spare.
    (息子二人を余裕を持って学校に送り届けたので、完璧に行っている)
  • He’s made another sale? He’s really batting a thousand!
    (また売り上げがあった? 彼は本当に絶好調だ!)
  • I wouldn't say I'm batting a thousand this morning — I spilled coffee on myself and was late to work.
    (今朝は上手くいっているとは言えない。コーヒーをこぼし、仕事に遅れた)

 

まとめ

困りのエイ
結局、「コウモリ」の意味ではあんまり使わないんだね
横目のソウ
ないことはないが…

たとえば、(as) blind as a bat は「コウモリのように盲目な」 「よく見えない」のようなイディオムもあります。

かつては、コウモリは目が見えないと誤解されていたため、このフレーズができたとか。コウモリは名誉棄損で訴えてもいいんじゃないでしょうか。

 

英語にもっと馴染むために

国内で発行される英字新聞は、英語教材と言っても過言ではありません。

従来の「読む」はもちろん、「書く」練習もあり、WEBサイトで英語音声を「聴く」もセットになってます。

The Japan Times Alpha(ジャパンタイムズアルファ)

The Japan Times Alpha(ジャパンタイムズアルファ)

日本語の対訳や注釈付きなので、辞書なしで読めます。初心者にも優しい。

英文ライティングなど学習要素が強く、新聞と言うより、初級者から上級者まで対象にした英語教材といった感じ。

発行は週刊で、1週間分の学習としてはちょうどよい分量です。

週刊英和新聞Asahi Weekly(朝日ウイークリー)

朝日ウイークリー

こちらも、和訳や日本語注釈付き。英作文や英文法など学習コラムが充実してます。

読みやすさを重視して、英語学習者を飽きさせないための工夫が上手い。ニュース記事の濃さは、さすがメジャーな新聞出版社。

(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Cambridge Dictionary, Wikipedia, Know Your Phrase, Collins Dictionaries, Phrase Finder, Idiom Origins)