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程度を表す用法
「かなり」か「やや」か
rather は副詞なので、形容詞、副詞、動詞を修飾し、文全体にかかることもあります。
「程度」を表す表現として、Cambridgeには to a large degree(かなり)と to a slight degree(やや)のどちらの意味も載ってます。
Longmanには、「特にイギリス英語では、a little(少し)より多く、very(とても)ほどではない」と記述あり。The Free Dictionaryでは「少し」「やや」「幾分」。
英辞郎だと「かなり」と「やや」両方説明されているし、「結局どっちなの?」と何度も頭を抱えました。
ちなみに、quite や fairly なども同じような使い方ですが、語の強さがちょっとだけ違います。rather quite fairly の順。
rather は quite よりもフォーマルで一番強いけれど、アメリカ英語だとあまり使われません。また quite は、アメリカ英語ではたいてい very(非常に)の意味になります。
形容詞を修飾する場合
- It's rather cold today, isn't it?
(今日はちょっと寒いですね) - To people who don't know him he probably appears rather unfriendly.
(彼のことを知らない人たちにはおそらく彼はやや無愛想に見える) - The company's prospects for the future are rather dim.
(その会社の将来の見通しはかなり暗い)
副詞を修飾する場合
- He answered the phone rather sleepily.
(彼は少し眠そうに電話に出た) - The train was rather too crowded for a comfortable journey.
(電車は快適な旅をするには少し混雑しすぎていた) - He boobed rather badly by getting her name wrong.
(彼は彼女の名前を間違えてかなりひどい失敗をした) - Actually, I did rather well in my exams.
(実際試験がかなり良くできた)
とりあえず「やや」と「かなり」を織り交ぜて訳してみました。実際、状況や話し手の話し方によってニュアンスは違ってくると思うので、なんとも判断がつきません。
ただ、rather は好ましくないことやネガティブなことを伝える際、あえて控えめに言って言葉を和らげる働きもします。
たとえば、日本語でも、本当はかなり疲れているのに「ちょっと疲れた」と言ったりしませんか? 「ちょっと」や「少し」を付けることで、丁寧な印象になります。
そう考えると、「かなり」ではなく「ちょっと」と言ったり、「幾分」「ある程度」「結構」のように、曖昧にぼかした訳のほうがよいのかも。
- rather:
- 「幾分」「ある程度」「結構」
名詞に付く rather
上の例文のように、rather が形容詞や副詞を修飾する時はいいとして、後ろに名詞が来る場合はどうでしょう?
副詞は通常「形容詞・副詞・動詞・文全体」を修飾します。ところが、rather は少し特殊で、名詞を修飾したりします。
rather a+名詞
形容詞がなく、rather の後ろが名詞だけの場合です。単数名詞なら「rather a 名詞」の形。フォーマルな書き言葉でよく使われます。
もちろん複数名詞の時は、a は要りません。
- It was rather a disaster.
(結構な災害だった) - It was rather a surprise to find them in the house.
(家に彼らがいるのを見つけたのは幾分驚きだった) - I grew up in rather unusual circumstances.
(私は幾分変わった環境で育った)
rather a lot of+名詞
rather a lot (of) は「結構多くの~」。a lot があると、数量が多いことがはっきりしますね。rather a lot は often(よく)の意味にもなります。
- I've got rather a lot of work to do at the moment.
(現時点ではやるべき仕事が結構たくさんある) - It cost me rather a lot of money.
(結構お金がかかった) - You’ve given me rather a lot.
(あなたは私に結構多くのものを与えてくれた) - They went there rather a lot.
(彼らはそこへよく行った)
rather a と a rather の違い
形容詞が付かない名詞単体の場合は rather a ですが、形容詞が付いた名詞なら、「rather a」だけでなく「a rather」 の形でもOKです。
とはいえ、rather a を使うほうがより一般的。
また、複数名詞が続いて some や those などがある場合は、「some/those rather」の語順になります。
形容詞+名詞を修飾する場合
- rather a:
- 「形容詞+単数名詞」と「形容詞のない単数名詞」の時
- a rather:
- 「形容詞+単数名詞」の時
- some rather:
- 「形容詞+複数名詞」の時
<rather a と a rather>
- We had to wait rather a long time.
(結構長い間待たなければならなかった) - We had to wait a rather long time.
(結構長い間待たなければならなかった) - He helped her out of rather an uncomfortable situation.
(彼は彼女を幾分不快な状況から助け出した) - He helped her out of a rather uncomfortable situation.
(彼は彼女を幾分不快な状況から助け出した)
<some rather>
- I had some rather bad news today.
(今日は幾分悪い知らせがあった) - It had made some rather bad mistakes which I thought should be corrected.
(結構ひどい間違いをして修正すべきだと思った) - Those rather odd selections suggest there could be a random factor at play.
(これらの幾分奇妙な選択はランダムな要素があり得ることを示唆している)
どの語を修飾するか
rather a は、イギリス英語で好まれる傾向です。a rather と訳し方は変わらないものの、rather が修飾する語が異なります。
rather a では、「形容詞」もしくは「形容詞+名詞」の「名詞句全体」にかかります。一方、a rather は「形容詞」のみ。
- rather a 「形容詞」または「名詞句全体」を修飾
- a rather 「形容詞」のみを修飾
- It's rather a long ordeal.
(結構長い試練だ) - It's a rather long ordeal.
(結構長い試練だ)
rather a では「長い試練」に焦点を当て、a rather は「長い」に焦点を当てています。もっとも、日本語にすると変わりませんね。
ただし、a rather が使えない語句もあります。
たとえば long shot は「長い射程距離」、転じて「勝つ見込みのない賭け」「大穴」になり、これ自体でひとつの名詞句です。
a rather だと、修飾するのは形容詞だけなので、a rather long shot とは言えません。
- The horse was rather a long shot.
(その馬は結構大穴だった) - The horse was a rather long shot.
「むしろ」の用法
rather は、「むしろ」の意味でも使われます。3つの場合に分けて考えてみましょう。
語感を和らげる
ひとつは、「むしろ」「どちらかと言うと」のように、動詞を修飾する場合です。
enjoy(楽しむ)、hope(願う)、like(好きだ)などの動詞を伴って、「どちらかと言えば、あれよりもこれ」というニュアンス。言葉の強さを和らげます。
- I've always rather liked Charlie.
(どちらかと言うとずっとチャーリーが好きだ) - I rather suspect we're making a mistake.
(むしろ私たちは間違いを犯しているのではないかと疑っている) - We were rather hoping you'd be able to do it by Friday.
(むしろ金曜日までにできることを期待していた) - I'm rather puzzled by this question.
(どちらかと言うとこの質問には困惑している)
- 語の強さを和らげる: 動詞を修飾する
- 「むしろ」「どちらかと言うと」
言い直しや言い換えをする
or や but を付けて、以前述べたことを言い直したり、言い換えたりします。文全体に対して使われることもあれば、語句に対して使われることもあり。
or rather(あるいは、むしろ)や not~but rather(~ではなく、むしろ)の形です。
- 言い直しをする: 文全体・語句を修飾する
- or rather「あるいは、むしろ」
- not~but rather「~ではなく、むしろ」
- He's my friend, or rather he was my friend.
(彼は私の友達だ、というより友達だった) - She worked as a secretary, or rather, a personal assistant.
(彼女は秘書、あるいはむしろ個人秘書として働いた) - The walls were not white, but rather a sort of dirty grey.
(壁は白ではなく、汚れた灰色だった) - The problem is not in the whole system, but rather in one small part.
(問題はシステム全体ではなく、むしろごく一部だ)
比較をする
than を付けて、たいてい A rather than B の形で「BよりむしろA」といった「比較」を表します。比較する語句としては、名詞、形容詞、動詞、副詞もあり。
- I think I'll have a cold drink rather than coffee.
(コーヒーよりむしろ冷たい飲み物を飲もう) - The problem was psychological rather than physiological.
(問題は体よりむしろ心だった) - Rather than pay the taxi fare, he walked home.
(彼はタクシー料金を払うのではなく、歩いて家に帰った) - We merely suggest or advise rather than give orders.
(私たちは命令するのではなく、単に提案したりアドバイスしたりするだけだ) - Lovers are generally kept apart by wars rather than by simple misunderstandings.
(恋人たちは概して単純な誤解ではなく、むしろ戦争によって引き裂かれる)
- 比較をする:
- 「(Bより)むしろA」
好みを表す用法
「むしろ~したい」
would rather A (than B) は「(Bより)むしろAがいい」。「好み」を言う表現で、prefer(~を好む)と同じです。
than の後ろの動詞などは、重複している時は省略OKです。
否定文の場合は、「would rather not+動詞」で「むしろ~しないほうがいい」「むしろ~したくない」。
- 好みを表す:
- would rather+動詞
「むしろ~したい」 - would rather not+動詞
「むしろ~したくない」
- would rather+動詞
- She'd rather stay at home than go out.
(彼女は外出するより家にいるほうを好む) - I'd rather live in an apartment than (in) a house.
(戸建てよりアパートに住む方がいい) - I'd rather have a beer.
(どちらかというとビールを飲みたい) - I’d rather not fly. I hate planes.
(むしろ飛行機に乗りたくない。飛行機が嫌いだ) - Wouldn't you rather finish it tomorrow?
(むしろ明日終わらせるほうがよくない?)
否定疑問文の場合
最後の例文について、どうして rather not でなく wouldn't なのか? ややこしいけれど、否定疑問文の場合は wouldn't になります。
というのも、たいてい否定疑問文は「~ではないですか?」と否定の形で尋ねつつ、実際は「~ですよね」と相手の肯定を期待した言い方だからです。
日本語で考えれば、「むしろ~のほうがよくない?」 「むしろ~のほうがいいと思っている」。
「むしろ~でないほうがいい?」 「どちらがいいか尋ねている」。こんなふうに、「ない」の位置でニュアンスが違ってきます。
否定文は、wouldn't rather ではなく、would rather not。ただし、否定疑問文では wouldn't~? になる
現実と違う過去の場合
また、「would rather have+過去分詞」は「むしろ~したかった(が、しなかった)」。実現しなかった過去のことを示します。
文法的に言えば、「仮定法過去完了」の主節側です。「もし可能だったなら」というif節が省略されたと考えれば、分かりやすいでしょう。
- 実現しなかった過去を表す:
- would rather+have 過去分詞
「むしろ~したかった(が、しなかった)」
- would rather+have 過去分詞
- I’d rather have seen it at the cinema than on DVD.
(DVDよりむしろ映画館で見たかった) - She would rather have spent the money on a holiday.
(彼女はむしろお金を休暇に使いたかった)
文節が続く場合
would rather の後には、文節が続くこともあります。
文節中の動詞は、現在または未来のことなら「過去形」、過去のことなら「had 過去分詞」。「仮定法過去」や「仮定法過去完了」のif節側と同じです。
意味は、「むしろ~ならいいのに」「むしろ~だったならよかったのに」。「~なら」と、条件のほうに重きを置いてます。
「I wish 仮定法」(~ならいいのに)と似てますね。
否定文の場合、否定語は would rather のほうでなく、後に続く節のほうに付けるのがお約束です。
- would rather+節:
- would rather+主語 過去形
「むしろ~ならいいのに」 - would rather+主語 had 過去分詞
「むしろ~だったならよかったのに」
- would rather+主語 過去形
- She’d rather you didn’t phone after 10 o’clock.
(彼女は10時以降に電話して欲しくない) - Would you rather she came to see me?
(むしろ彼女が私に会いに来る方がいい?) - I'd rather you stayed here.
(むしろあなたにここにいて欲しい) - I'd rather you hadn’t rung me at work.
(仕事中に電話をしないで欲しかった)
rather 人 than me
直訳すると、「むしろ私より誰か(人)のほうがいい」。主にイギリス英語のイディオムで、「私じゃなくてよかった」というニュアンスです。
アメリカ英語だと、better 人 than me が普通。自分にはできない(あるいは、したくない)ことを他の人がする時に使われます。
同情の表現ではあるものの、場合によっては皮肉っぽく聞こえるかもしれません。
- "I'm having two teeth out next week." "Rather you than me."
(「来週歯を2本抜くんだ」「気の毒にね」) - “I'm going climbing tomorrow.” “Rather you than me!”
(「明日はクライミングに行くんだ」「大変だね」) - My sister has to work every day over the Christmas break ― rather her than me.
(妹はクリスマス休暇中毎日働かなければならない。私じゃなくてよかった)
まとめ
rather は用法がいろいろたくさんあるものの、大方詰め込めたと思います。過去一のボリュームになっちゃいましたが。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます。お疲れ様でした。
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英会話タイムトライアル
英作文とスピーキングに特化してます。
制限時間内に英文を作り、それを口に出す練習というのは、昔のNHKの英語講座にはなかったタイプ。
「口がなかなか回らない」と悩んでる方はぜひ。
(引用・参照元: Oxford Learner's Dictionaries, The Free Dictionary, Collins Dictionary, Cambridge Dictionary, LDOCE)